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ドライブ・マイ・カーのSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
What a Wonderful World.
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影の語りから始まるファーストカットは良し。

だけど頭から延々に続くJKのストーカー話と一人上手話、そんで長すぎるオシャレカットに前日の深酒が効いてきて軽くめまいが^^
これ、苦手な奴っぽい。

延々数十分を費やし、ようやく中盤でタイトル告知。おいおい、どう考えても長えだろ。なんの修行だよって。ただその後は尻上がりに調子を上げていき、岡田将生くんの長ゼリフには、かなり感応してしまった。

数カ国のキャストと手話を交える演劇が素材の構成は、確かに文化オタク好み。女神さまが微笑んだとは言え、一般向けとは言い難くかなり層を選ぶだろう。

ただ、公開当時も新宿はマニアなお客様で満杯でした。この残酷な世界の現実を見せつけられると国境を超えた絆が大事なことを再認識させられる。

劇中劇と日常が淡々と語られる。
そのコントラストがメリハリになって、リズム自体は悪くない。
どちらもキモの要素なので外せない。うまく構成している。

後半は一転して自分探し。
お客様にそれぞれの答えをまかせるのも、この芸風ならありだろう。鑑賞後に、想いを馳せる。そんなジャンルかなと。

キャストは、なかなか粒ぞろい。
西島秀彦は、相変わらずいい人の笑顔と凶悪な躰を晒してギャップのちからでハコの中を魅了する。

そして割と邦画作品でチラ見するドライバー役の三浦透子は、その持前の個性を見せつける。このくらい見目が整っていれば、後はメイク隊の仕事で面食いさんを欺けるのだが、あえてやらなかったんだろう。
本当に素の感じ。彼女は23歳の設定なのか…。

晒し系の役を担った妻、音役の霧島れいか。
本作の重要なキーキャラ。せつない過去で壊れた性癖をしっかり演じて自分の役割を果たしていたと思います。

岡田将生くんは、世界基準で考えればこの作品がキャリアハイになるかも。

まー、基本、シナリオなんて自分の人生の切り売り。
生きてきた、紡いできた経験を描かなきゃ嘘くさくなる。
自分の行為をすべて晒すこと。
モノヅクリとは、虚構にまぶした真剣勝負。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」

ロードムービーに演劇臭をまぶしてオサレでまとめた逸品。
観て損は無いですが、長ーい。諸々コンディションを整えて鑑賞くださいませ。二日酔いなんて、滅相もない話ですぜ、ダ・ン・ナ!

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