ぽめ谷園

ドライブ・マイ・カーのぽめ谷園のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

こちらもまた原作も、チェーホフの戯曲も知らず、前情報無しに鑑賞。

序盤の時点で奇妙なラブシーンが数回あり、邦画独特の抽象的なポエムのようなセリフが続き、ウワァ…観るの辞めようかなと思ったが、奥さんの死により物語が転調し、段々と話がスッと入ってくるようになる。終始淡々と流れる静かなムードが心地よい。

サンルーフから煙草を出すシーン、線香に見立ててるのかもしれないが、ちょっとクサいな…と思ってしまった。イキって「chillなう笑」と自己陶酔している大学生みたいじゃんと思った。すみません。

終始棒読み調のセリフは、監督が意図的に狙ったものだと記事で知ったが、抑揚なく淡々と話す表現がこの作品には合っていたと思う。
その淡々としたトーンの中で、衝動的で自分を制御できない、岡田将生演じる高槻の行動や言動が、いい意味で悪目立ちしていたし、異様な存在感を放っていた。家福とは真逆とも言えるし、家福の知らない奥さんを知っていたのも高槻だった。
会話で人と心を通じ合うことができない彼が、劇中の言葉によって、ようやく会話によって生かされる。しかしそれは、浮気相手の紡いだ言葉であること。複雑すぎる。

多言語で構成された劇設定も、ざっくり言えば多様性を認める、会話をすることが大切、ということを伝えるための表現なのは承知の上で、こんな劇わかりにくく無いか?と思ってしまった。劇について知識が無く、わからないけども…

ロードムービーとも少し違うかもしれないが、「パリ、テキサス」が大好きで、その雰囲気によく似ている。と、記事にも書かれていた。
それよりも希望のある終わり方で、戯曲ともリンクしており、良い終わり方だと思った。

個人的に、三浦透子の歌を好きで聴いていたことがあり、途中で本人だということに気づき、演技力に脱帽した。照れ隠しで犬を撫でるシーン、とても好きだな…劇中の人物だが、幸せになって欲しいと思った。結構好きな映画。