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ドライブ・マイ・カーのアイのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9
封切りからだいぶ経って観ましたが傑作でした。映画賞の評価などをふまえ、いろいろ納得ですが、なぜ岡田将生が映画賞の助演男優賞でスルーされたのかは謎。たぶん、海外で評価されて”逆輸入”的な扱いになり、慌てて日本アカデミー賞で評価したのだろうと推察。村上春樹原作ですが、チェーホフあっての映画です。

「ワーニャ伯父さん、生きていきましょうよ」劇中劇のラストが主題だったように思う。冒頭からタイトルバックまではTHE村上春樹って感じで苦手かも?と思って観ていましたが、舞台が広島に移ってTHEチェーホフになってきたら俄然面白くなるのでした。

「地獄のようにつらい現実や過去があって、嘆き、絶望しても、生きていかざるを得ないから、それなりに生きていこうよ」と希望の光が射す映画だから心に刺さったのかもしれない。

撮影が素晴らしかったことも書き残しておく。ドライブマイカーは車での移動を高所からロングショットで繰り返し取っている感じでしたが、滑らかで風景と合わせてとても美しい。ラストになる舞台「ワーニャ伯父さん」、ミドルショットの長回しも見事でした。車内シーンの撮影も素晴らしいのよね。映像美だけでも見る価値あり。
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