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ドライブ・マイ・カーのhirobeyのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.8
アカデミー賞受賞作品。
原作は村上春樹。
舞台作家の家福、妻で脚本家の音、俳優の高槻、家福のドライバーのみさき。この4人を中心に展開する物語。

とても静かな作品。登場人物の台詞がどれも抑揚が抑えられているような印象を受けた。特に音の吹き込んだテープの台詞がそうだったので、繰り返し流れる声が耳に残った。家福もみさきも普段はあまり感情を表に出さない。唯一高槻だけがとても感情的に映った。

「ワーニャ伯父さん」という劇中劇の演出がとても不思議で、日本語、韓国語、中国語、手話が通訳を介さないでダイレクトに会話が展開されていく。舞台に馴染みがないので、本読みのシーンは面白かった。ここでも初めは抑揚のない台詞を読むだけのシーンが続く。ただし、本番の舞台ではとても感情むき出しで台詞を吐き出す姿があった。また、舞台ラストの長い台詞が手話で表現されていて、観客の1人になって見入ってしまった。

言葉で伝えることの意味や言葉というものの無力さも含めて、不思議な世界観が本作全体を覆っていた。これが村上ワールドというのだろうか?

役者が試されている作品のような?

赤のサーブ。家福に大切にされている車。エンジン音は良かったけれど、ドア開閉時の軋み音は気になった。これも敢えての演出なのだろうか。

韓国でサーブを運転するみさきの表情が僅かに柔らかかったのが印象的。あの犬は確か…。

とにかく3時間の作品。映画館では断念せざるを得なかったので、漸く鑑賞できて良かった。観終えると長さはあまり気にならなかった。

東京〜広島〜北海道
赤のサーブ
カセットテープ
手話
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