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ドライブ・マイ・カーのsummerbloomのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.5
一歩間違えれば薄ら寒くなってしまう村上春樹の世界観が映画として成立していた。冒頭の性交渉と一人語りのシーンはなかなか厳しいが、原作が原作なのでこれは仕方ないか。
辛酸を多少なりと舐めてきた大人としては家福の抱える悩みやみさきのハードな生い立ちに共感し、肩の一つも抱いてあげたい気持ちになる。人間は矛盾だらけで弱くてずるい。それでも他人と言葉を重ね、傷付きながら心を通わせて生きていくほかないのである。ワーニャ伯父さんの台詞が登場人物の心理と、観客である自分とも重なり、それゆえに作品が普遍的なものになっていると感じた。残されたものは生きていくしかない、というメッセージは実に村上春樹的でよいと思う。
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