もち

彼女のもちのネタバレレビュー・内容・結末

彼女(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞しながら共感できるところは少ないと思っていたけど、所々自分の今までの恋愛と重なる部分があり、色んな感情が湧いて、ごちゃ混ぜになって、なんとも言えない気持ちを引きづりました。

笑ってくれただけで自分の人生を壊せる人に出会ったことはないけど、この人から解放されたいって悩んだことがある、異性愛者でよかったって思ったことはないけど、出会ってよかったって思う人はいる…みたいな感じで節々に共感しました。

恋人の親に会う際にどこか他人事だったレイはずっと七恵のことを忘れられず想っていたし、そんな七恵のためだから旦那を殺したんだなと思います。

七恵は貧乏だったから学生の時間を買われたからレイに対して劣等感を抱いてて。でもレイ→→七恵の片思いを利用して旦那を殺させて優位に立とうとしてたのかな。多分、あの割り勘の550円があっても七恵の心のどこかで劣等感が残ってたからこそ、レイに連絡したのかも。

だから、七恵はレイに対して警察呼んだと試したりしたのかな。

レイはずっと好きな人に試されちゃったから怒って、七恵の旦那や父親のように殴っちゃったんだろう。

愛しているから人を殺す、は壮大すぎて共感が難しかったです。愛しているなら別の手段があったのかもしれないけど、大好きな人を傷つけた人間を殺してしまう程、レイは愛情深く、七恵はそんな人を利用する程、愛情に対して軽薄なんだろうな。軽薄になってしまう家庭環境で育ってしまったってこともあるけど…。

もしかして、七恵は母が父に殴られるのを見て高校生くらいまで育っているから、DVをされることで一種の愛情を感じていた…のかな?レイは母親に同性愛者を受け入れてもらえなかったけど、お兄ちゃんは勘づいてて受け入れてる感じだったので、家族内での愛情も2人の対比だったのかもしれない。

そんな2人が恋人にも友達にもなれないなら、家族になることを選んだのはとても美しかったです。
ラストのガソスタで、七恵がレイに「待ってる」と言ったのが響きすぎて未だに上手く噛み砕けないです。

それに、挿入歌のcherryが新しい解釈として自分の中にストンと落ちてくれました。レイは七恵を恋愛対象として、七恵はレイを人として好きになったのかな。お母さんが出ていった日の美術の時間に、七恵が無自覚にレイを好きになった瞬間なのかな。

官能なのに官能さがなかったです。行為や出てくる人達の感情すべてが芸術品を観ているようでした。

まだ噛み砕けてない部分も多いので何度も見て自分の解釈を得たいし、更に恋愛を経験して観ると新しい解釈が生まれそう。

何度も観たい映画です。
もち

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