巧みな脚本と、それを完璧に表現してみせた役者の演技、引き出した監督、それぞれ高度な仕事ぶりが結集し、それぞれのやり方で社会と向き合った4人を描く良作です。
白眉はジム・ブラウンとマルコムXの会話シーン。黒人による黒人差別についての指摘、黒人を丁重に扱って悦に入る白人についての言及も見逃せません。
当たり前ですが問題を単純化していくことで見えなくなるものがあるということは、常に心に留めておかなければならないと思いました。
ボブ・ディランの名曲に影響を受けた”A Change is Gonna Come”をめぐる会話の伏線の張り方も上手い。
差別も分断も深刻化しているように思える現代ですが、それでもほんの少しずつ、日進月歩で世界は良い方向に向かっていると信じたいと思いました。
