Blake1757

HelplessのBlake1757のレビュー・感想・評価

Helpless(1996年製作の映画)
3.5
青山真治の長編デビュー作にて、“北九州サーガ三部作”の第一作。結果として、これを3番目に観ることになった。
構図の決まり方がいちいち見事で、陰鬱な色調も、この世界をよく表していると感じた。
『HELPLESS』と聞くと僕はまずニール・ヤングの手による同名楽曲を思い出すのだが、ちょっと調べたところ、直接は関係ないらしい(実際のところは知らない)。
一方で、主人公はニルヴァーナの『NEVER MIND』のジャケットをデザインしたTシャツを着ているのだが、この映画の公開は1996年で、カート・コバーンが死んだ2年後。カートの遺書にニールの『Hey Hey, My My』の歌詞「It's better to burn out than to fade away」が書き遺されていたことを青山が知らないわけはないので、何か思う所はあったのかもしれない。
直接的には、この物語が三部作の三作目(サッド ヴァケイション)につながっていくわけだが、一作目の「救いのなさ」から、三作目の「絶望的なのだが希望も感じさせる余韻」は、青山自身の十年の間の「変化」なのだろう。
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