事故は快感、傷跡は恍惚。凄惨な事故に遭った男と女。退院後、それぞれ事故の衝撃を通じて思わぬ性的興奮を感じ始める。
この映画は、傷跡を痛々しく映すのではなく、それは艶めかしく性的欲求の対象である事がさも当たり前かの様な概念的な意味合いで映し出され、そのカメラワークにはもはやエロティシズムすら感じられる。現実を越えようとするのは、人間の基本的欲望であり、創造的欲求のひとつである、とクローネンバーグは言う。性と生の狭間でモラルを破壊し、衝動のままに互いの欲求を満たしていく様は滑稽なのか何なのか。こんな変態性の塊みたいな作品、クローネンバーグにしか撮れない。この映画、冗談抜きで上映時間の半分以上はセックスしてる。