MasaichiYaguchi

ソングバードのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ソングバード(2020年製作の映画)
3.3
新型コロナウイルスが更なる変異を遂げ、厳しい外出制限が4年間も続く荒廃した世界を舞台に、そこに生きる人々が自由を模索し奮闘する姿を通し、本作は未だに“ウィズ・コロナ”の現実に向き合わざるを得ない我々に問題提起する。
2024年、新たな感染症の世界的拡大により外出禁止令が徹底され、ゴーストタウンと化したロサンゼルス。
人々は日々検温を義務づけられ、発熱すると自動で通報、感染者は「Qゾーン」と呼ばれる隔離施設に収容されてしまう。
ウイルスに免疫を持つ配達員ニコはパンデミック下で恋に落ち、ドアやスマートフォン越しに愛を育んできた恋人サラといつか触れ合うことを夢見ている。
ところが或る日、サラが感染を疑われ「Qゾーン」に収容されそうになってしまう。
「Qゾーン」と呼ばれる隔離キャンプは、一度、足を踏み入れたら最後、そこから逃れることは出来ず、 Qは「Quick Death」の略だと噂されているエリア。
だから「Qゾーン」収容のピンチにあるサラを救うべく、ニコの奔走が始まる。
破壊王・マイケル・ベイがプロデューサーに名を連ねてはいるが、彼のトレードマークとも言える巨大な爆発シーンを期待すると、肩透かしを食らう。
本作の撮影は、新型コロナウイルスが猛威を振るう2020年7月、ロックダウン下のロサンゼルスで、新しいガイドラインのもと、僅か17日間でiPhone、GoPro、監視用カメラを用いて撮影が行われている。
大規模な撮影機材を使わず、創意工夫で俳優たちのライブ感あふれる演技を映し出した点において、斬新な映画と言えるかもしれない。