ぬるぽちゃん

アース・フォール JIU JITSUのぬるぽちゃんのレビュー・感想・評価

アース・フォール JIU JITSU(2020年製作の映画)
4.0
ニコラスケイジを最前面に持ってくる事で「これはクソ映画です!」というアラートを鳴らしてくれる非常に親切な作品。先に言っておくがクソ映画すぎて面白い。
しばらく観ると気づくのだが、驚くべき事にニコラスは主演じゃない、それなのにメインビジュアルのど真ん中で刀を握ってカッコいいポーズを取っているのだ。スゴすぎる、誰だこのトリックを考えた奴は天才か?
では主演は誰なのか、次の有力候補はトニージャーだ。このFilmarksのサムネを見て欲しいのだが、タイトルの下でトンファーを握っているのはトニージャーだ。これは間違いない、ハリウッド版マッハ!が観れるのか?ワクワクするなぁ。まぁそんな訳は無い。というか主演なんてどうでもいい映画なのでこの話はやめよう。

内容は製作費30億円をかけたと言い張る低予算映画で、期待を1ミリも裏切らない出来になっている。
ストーリー的には彗星と共にやって来たプレデターが人間に"JIU JITSU"を教え、ちから自慢を毎年用意しろ、さもなくば皆殺しだ!と言い残し、6年周期で律儀にやって来てはちから比べの名の下に壮大な迷惑行為を働くメンヘラSFアクションだ。こんな設定誰が思いついたんだ、天才か?

ちなみにアースフォールっていう題名は多分雰囲気で勝手に付けた邦題で特に意味はない。重要なのはサブタイ風になった"JIU JITSU"の方だ。文字面通り柔術を指していると思い込んでいたのだが、視聴を続ける最中で二つ目の驚きがあった、柔術じゃない。手裏剣をカタパルトから射出するのは柔術じゃないし、謎のハンドパワーで焼き殺すのも恐らくは柔術ではない。では何なのか、"JIU JITSU"だ、さっきのトンデモ技に加え、剣をブンブン振り回したり全てを捨ててストリートファイト的な喧嘩パンチをしたりするのが"JIU JITSU"だったのだ。とんでもないミスリードである。
様々なアクションシーンがあるが、ニコラスがメンヘラプレデターと戦うシーンは必ず見てほしい。上がらないハイキック、ちょっと遅い殺陣、斬られすぎるニコラス、全部が面白い、絶対に笑わせに来てる。ニコラス戦の後すぐに驚きの真実みたいな描写があるんだが、もうそれすらも面白い。お昼に食べたラーメン出そうになるくらい笑った。

ちょっとネタっぽくレビューを書きたかったのに作品側がヤバすぎて完全負けてしまった。どう考えても30億使ってない、中抜きされた製作費の行方を追うドキュメンタリーの製作が待たれる。