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誰かの花のkokiのレビュー・感想・評価

誰かの花(2021年製作の映画)
3.4
学生の頃から通っていて(2千円会員だった)愛着のある映画館の30周年を記念した映画がめちゃくちゃ反響を呼んでいるとのことで、もっと早く駆けつけたかったけど、観た。

周囲の人間が誰かのための行いをしている(ように見える)中で対比的に主人公の身勝手さが繰り返し映し出される。
その時の立場によって人は守りたいものが移り変わる。そうした中で最終的に対峙するのはもはや誰かの視線というより、過去の自分。

辛口になりたくないけど個人的評価としては...凡庸。(舞台挨拶での監督の発言も凡庸)
加害者と被害者の曖昧な境界線に立たされた人々を描いた昨年の力作『由宇子の天秤』、『空白』や『さがす』との差は大きく感じる。
グラグラ揺さぶられる3作と比べ、重心は傾けつつも足踏みをしているような印象。
明らかに抜け落ちているのは娯楽性(ミステリー要素含む)。より当事者たちの内面を見つめるために意図的に省いているのかもしれないが(シナリオに娯楽性を混ぜるのが実は最も一か八かの危険を伴う)、題材自体別に目新しいわけではないためそこだけ突き詰めても引力が弱い。
編集は、一見、切り取る画の取捨やカットのタイミングが計算尽くされているなぁと感じたけど、先ほど述べた通りストーリーは足踏みしているので徐々にその意味する繋ぎが場面の最初に飛び込んでくるようになり(斬新なものはなかった)、ここ巧いでしょみたいな拗さになっていった。
子供の使い方も型にはまっていて、、、冒頭で想像する枠を最後まで何もはみ出てこない。。。

ヘルパー役の村上穂乃佳さんと認知症のお父さん役の高橋長英さんの演技は目を引いた。(こうした題材は顔が今一般に知られていない役者を使うことも重要)

舞台挨拶付き。
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