Joker

冷血のJokerのネタバレレビュー・内容・結末

冷血(1967年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

白黒でシャープで綺麗なショットが多かったと思う。白黒の理由もあって全体的に薄暗く息が詰まるような感じがあった。

何故悲惨な殺人事件が起きたのか、何故冷血な殺人犯に彼らがなってしまったのかが詳しく描かれていて、終盤に犯行のシーンが明らかになるという構想も良かった。

物事の経緯がありのままに描かれて、作者の主観やメッセージが除かれているので、人によっては何を伝えたいのか分からない、観てて面白くないと感じるかもしれない。
しかし、主観やメッセージが除かれて、
物事がありのままに描かれることによって観る人それぞれが色んなことを感じたり、色んな角度から考えることが出来ると思う。

”冷血”な犯罪者でも、残虐で芯から良心のかけらもない者もいれば、思いやりがあり人間性がある者もいる。
特にペリーのように恵まれない幼少期を過ごし、父親に銃を向けられるなど心に深い傷を負った人もいて、彼がやったことは当然許されることではないけど、過去のトラウマによって精神的に病んでいる彼も立派な被害者であると感じた。
ペリーが行った殺人は極めて残虐であることは間違いないが、絵を描くのが好きだったり、最後まで犯行をやめようとしていたり、ディックが手を出そうとしているのを止めたりと、犯行時に父親のフラッシュバックさえ見なければ衝動的に人を殺すことはなかったのではないかと考えると彼の境遇が非常に残念で胸が痛んだ。

同じ殺人者でも、本質的に残虐で人間性のない者もいれば、家族や社会から不当な扱い受けてそうなってしまう者もいて、後者
をいかにして救えるか考えさせてられた。
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