Omizu

冷血のOmizuのレビュー・感想・評価

冷血(1967年製作の映画)
3.7
【第40回アカデミー賞 監督賞他全4部門ノミネート】
『熱いトタン屋根の猫』リチャード・ブルックス監督がトルーマン・カポーティ原作の同名小説を映画化した作品。アカデミー賞では監督賞他全4部門でノミネートされた。

重要な作品ではあると思うが、いささか冗長。特に前半は大した展開もないので退屈してしまった。

ただ、終盤の畳みかけるような良心との呵責、死刑制度への投げかけなど怒濤の展開が素晴らしい。

映画として面白いかと言われるとそうではないが、単なるクライム映画を超え、死刑制度や児童虐待など社会問題を扱った社会派作品になっている。そうした点でかなり重厚で見応えあり。

ディックがイカれた奴なのかと思いきや、本当にイカれているのはペリーだったりする。子どものころの生活環境がいかに後の人生に大きな影響を及ぼすか。それを考えさせられる。

終盤は生々しい犯行の様子、死刑を待つ囚人たちのリアルな様子が描かれておりよかった。

個人的にはそこまで好きな作品にはならなかったが、評価されるのも分かる。クライム映画であり、社会問題を扱った社会派作品でもある。このバランス感覚は上手い。リチャード・ブルックスの過度にセンセーショナルに煽らない演出もよかった。
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