こじろう

彼女来来のこじろうのレビュー・感想・評価

彼女来来(2021年製作の映画)
3.2
そこはかとない奇妙感、
何か起きそうな期待感。
音楽の塩梅もちょうどいい。

後釜まりとのシルエットで撮る
キスシーンよかったなぁ。

彼女が入れ替わる主人公の職業が、
キャスティングってのも絶妙。
代わりの効かない人なんていない、
空いてる役があってその形に
フィットする人が入れ替わっていく。

天野はなちゃんの声が、
どこか奈緒ちゃんっぽく
聞こえてしまったりもして、
後ろ姿じゃ選別できない時があって、
はなちゃんと奈緒ちゃんの境界線が
曖昧になっていく感覚が面白かった。

誰かと生きていく時にある、
相手を自分の人生パズルの
ピースにはめる側になるか、
はたまた相手の人生パズルに
はめられる側になるかの不穏さ。

二つは一つになれないし、
誰かの人生が交わることなんて
本当はないのかもしれない。
並走することはできたとしても。

誰かのかけがえのなさはあったとして
その代わりを見つけるしぶとさや
逞しさだってある。
幸福も愛情も、インスタントで作れる
簡単なもので、美化されるような
崇高さはない。
普遍的な恋愛を描いてるけど、
ロマンティックラブイデオロギーを
解体するような反恋愛映画だと思った
こじろう

こじろう