潤也

ブレット・トレインの潤也のレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
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まずこれはアクション映画というよりも、スポーツに近かった。2021年東京オリンピックが開催されたが、映画好きの東京オリンピックはここにあった。そんなわけねえだろ、な日本の背景やセットは今やハリウッド恒例のお家芸となっている。新幹線にふすまなんかねえよ。客室乗務員はせめて黒髪だろうが。電車のフォームには仕切りがなく、平気でタバコをポイ捨て。そして刀。一家に一本…あるわけねえじゃん。そんな脚色が全て許されるくらいのブラピのお茶目さ。年食ったブラピのいい所を押さえていて全体的に面白かった。なんとも憎めない日米合同演習活劇。

原作は読んだことあるけど、これは映画の上演時間と同じくらいの間の出来事を小説にしている。終着駅は仙台で映画では真反対な脚色になっていたが、富士山や京都という日本の代名詞を持ってくるために関西方面に進行させたのはやはりハリウッドだなと。小説はそれぞれの登場人物の視点を描き、それが運命的な因果のもとに交差する描写を書いている。伊坂幸太郎独特のストーリー展開が売りだ。映画では主演を天道虫ことブラピが演じ、取り巻きの登場人物も総じてコミカルに徹していた。真田広之だけはハリウッド日本代表ということもあってか、元極道(サムライ)として贔屓された役柄だった。ずるい。

ある意味で期待を裏切らないオハコをやってくれた監督に拍手。時代は銃じゃない、ブリーフケースだ。
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