かたくり

ボクたちはみんな大人になれなかったのかたくりのレビュー・感想・評価

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「分からないことは分からないままでいいんです。その方が、ずっと残ってくれる。」
「宮沢賢治は生涯遠くへ行かなかったけど、銀河の話を書いた」
「こんな毎日だけどなんか嫌いじゃない」

「大丈夫だよ、君は面白いもん」


最近、同世代と話した時に懐古的な人ばかりでビックリした。戻りたいと思える過去があるって素敵な事だと思う。
私はただただ現在を生きていると思っていたのだけど、安いラブホとか、古着を着ることとか、涙を流した初体験とか、いつか戻りたいと思うであろう過去を今に生きているんだな、大切にしなきゃな

年齢に見合った収入で、年齢に見合った服を着て、東京タワーが見えるホテルに行けて、平気でタクシーに乗れて、新人のこだわって作ったものを受け入れられる佐藤は大人に見えたよ。(あ、佐藤って名前普通でいいね。)
けどこれは私たちが創り上げた“大人像”であって、本当の大人がこれではないかもしれない。何が大人かなんて、明確に定められていない。
いつまでも低収入で、昔と同じ服装で、ホテルは安くて、徒歩や自転車移動の生活をしていたって(むしろそれで良くて)、なんか嫌いになれない毎日を生きてるんだよ。どうしようもなく。

私たちが生きていけるのは、“自分より好きになってしまった人”がいるからかもしれない。

どうしようもなく生きている人には何種類かあって、
1パーセントの世間知らずだったり、
人の不幸を笑えなくなった人がいたり。


私も25年後に過去を振り返ったら、映画が撮れるくらいになっているのだろうか。この映画は誰の人生も物語たりえると教えてくれた。私の普通は私。私の人生。