映画狂人

ボクたちはみんな大人になれなかったの映画狂人のレビュー・感想・評価

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平成から令和へと時代が移り変わり、もう二度と戻れない「あの頃」を懐かしむ最近流行りのエモい作風。
主人公と共に人生を遡り追体験していく『ペパーミント・キャンディー』風の構成が特徴。
人生に色を添えるアイテムとしてあの時代を象徴するサブカルチャーが効果的に登場するが、個人的にオザケンは全く通らなかった為やや俯瞰的に鑑賞。
それでも、泥臭く人間臭く疾走する森山未來にはグッときた。
業を背負いがむしゃらに生きる人物を演じたら今の日本映画界ではトップレベルの実力派、今作でも21歳〜46歳を違和感なく演じ切る安定した演技力。
全体を通して些か感傷的過ぎるきらいはあるものの先の見えない今の時代の渋谷で未来に向かって走る様は示唆に富んでおり、どう生きるかは人それぞれだが時間は平等に流れていく事を時に残酷に時に美しく描いている。
監督は本作が映画デビューとなる森義仁、後になり調べたら欅坂46の『避雷針』『もう森へ帰ろうか?』のMVを撮った人物だと知り欅ファンとしては嬉しくなった。
東出昌大はプライベートの騒動の所為で色々言われているがやはり役者としては魅力的、世間のバッシングにめげる事なく生き残って欲しい。
他は浅野忠信とCHARAの娘=SUMIREやゲイ役の篠原篤の存在感が際立っていた。
そして勿論、快進撃を続ける伊藤沙莉のナチュラルな魅力も忘れ難い。
やはり「時間」や「匂い」が感じられる映画は良い。
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