焼きぷりん

浅草キッドの焼きぷりんのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.3
『芸人だよ馬鹿野郎!』。劇場でたたき上げられた"タケ(北野武)"が、テレビの"ビートたけし"になるまで。そして、たけしの師匠・深見との出会いから別れまでのエピソード。

口は悪くても、愛。ビートたけしに芸人のいろはを厳しく叩き込んだ深見。改めて芸人っていうのは上下の社会なんだなあと思いつつも、羨ましくなるような師弟関係が描かれる。師匠の背中は大きいけれど、いつかそれを超えて。でも、その時もまだ昔みたいな関係で語り合える。

ツービートが売れるまで。純粋にカッコ良すぎるサクセスストーリー。熱意と狂気と才能と。そして、師匠譲りの毒舌とタップダンス。売れるために芸人しているってのもあるけど、師匠を裏切らないためにも、売れなきゃいけなかったんだなあ。

絶妙なキャスティング。ビートたけし役に柳楽優弥がこんなにハマるとは、正直思っていなかった。実力ある俳優とは承知していたが、期待以上だった。そして、大泉洋は何でもできるベテランだな、と。

実に良い映画だなあ、と。無難な作りといえばそうではあるが、ストーリーにはまとまりがあるし、最後も切なさと清々しさが入り交じったような感じが妙に心地よい。何より物語のトーンがぶれないのでかなり見易い。劇団ひとりの映画監督としての手腕が光る一作。
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