B612

浅草キッドのB612のレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.5
良作。演者の素晴らしさはすでに語り尽くされていると思うが、特に、大泉洋が当たり役だったと感じた。江戸弁風の早口が板についている。やはり根っからのコメディアンだ。

そして、終盤。テレビ(しかも深見の嫌いな漫才)で売れたたけしが凱旋するシーン。自らが渡した小遣いで飲み食いしたと知っていても、ごちそうさまと言うたけし。それに対して、その小遣いからさらにタクシー代を渡したうえで、釣りは返しに来いと深見。
喧嘩別れから和解への兆しが見えたこのシーンが、本作の山場のひとつだろう。
前述のセリフも、芝居ももちろんいいのだが、あえて、後ろで流れる音楽を賞賛したい。
なんとも物悲しいピアノ曲である(名作awakeningから、Randy Newmanの「Dexter's Tune」に似ている気がした。)。
深見からすれば、自分が弟子に超えられたという事実への切なさと嬉しさを感じているはずで、その感情を上手く表現していたように思う。
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