黒人たちが今まで白人に虐げられたきたため、生き残るために何らかの「壁」を作っています。マ・レイニーは、他人に対して横暴に感じるような言動を取ります。しかし、それも彼らが生き残るためにやむなく身につけたものです。原作者オーガスト・ウィルソンの作風なのか本当に暗いです。彼が執筆した『フェンス』もこの作品と同じように暗いものです。この作品の根底で起こっていることは、今でも古びていません。誰かを抑圧すれば、その抑圧した人は必ず誰かを抑圧します。そういうことを表現したかったのだと思います。ちなみに、『フェンス』には、ヴィオラ・ディヴィスが出演し、アカデミー賞を受賞しました。今作はただ暗いだけでなく前半の巧妙なやり取りはユーモアを感じました。
