どど丼

マ・レイニーのブラックボトムのどど丼のレビュー・感想・評価

3.8
チャドウィック・ボーズマンの遺作。まさか2020年に彼の遺作を見ることになるとは思いもせず。あまり宣伝されていませんが、今日Netflix配信、オスカー最有力候補なので是非!

舞台っぽいと思ったら舞台原作。ブルース最初期のシンガーとバックバンドを題材に、1920年代当時の黒人の状況を断片的に描いた作品。戯曲特有のテンポゆえに人は選びそうですが、やはり見所はチャドウィックの名演技。情熱的で激情に走りがちなキャラクターだけに一人で捲し立てるシーンが多く、彼の豊かな感情の機微が拝める。衝撃的で皮肉の効いたラストには息が詰まった。

時代設定は違うんだけど、主人公が「グリーンブック」と同様に黒人音楽家で、彼ら自身の名声とは逆行した差別に苦しんでいるという点で共通。ただ、こちらの良さは何といっても白人を救世主化せず、黒人差別を娯楽的消費に帰さなかったこと。今作は正しく黒人映画の典型として一定の価値があります。
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