鷲尾翼

マ・レイニーのブラックボトムの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

4.0
【まとめシネマ】#407

【まとめ】
* 戯曲ならではのテンポのよさ!
* 黒人が語る複雑な社会表現
* 現実の厳しさを黒人が教える

本作は1982年にオーガスト・ウィルソンが発表した戯曲(=演劇用の脚本)を元に制作されたNetflixオリジナル作品。また、本作がチャドウィック・ボーズマンの遺作となった作品。

本作は戯曲を元に制作されているので、テンポよく物語が進んでいく。セットの種類が少ないワンシチュエーション・ワンテーマで展開され、音楽の心地よさも加わってかなり観やすい!

本作のメインになるのがヴィオラ・デイヴィス 演じる「ブルースの母」マ・レイニーと、チャドウィック・ボーズマン演じるマ・レイニーのバンドメンバーの一員・レヴィー。

両者に共通するのは「1920年代の黒人」
当時の音楽産業は盛んで、特に黒人音楽が音楽レーベルに搾取され、肝心の黒人ミュージシャンに充分な報酬を与えられなかった。この状況に戦ったのがマ・レイニーで自分を曲げない強い女性像が本作で描かれている。

一方、レヴィーは自分の才能に自信があるが、中々評価されない不遇な人物。社会的地位も当時定まっていなかった黒人が最後に起こした行動は、やはり悲しい。

本作は現代にも通づる現実の厳しさを、良くも悪くも黒人が教えてくれる作品。そして本作の舞台裏を描いた「マ・レイニーのブラックボトムが映画になるまで」も合わせてみるのがオススメ。
鷲尾翼

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