Iri17

くれなずめのIri17のレビュー・感想・評価

くれなずめ(2021年製作の映画)
3.0
noteにまとめたので以外コピペです。

高校時代の所謂“陰キャ”グループの6人が友人の結婚式のために久しぶりに結集し馬鹿みたいに騒ぐパートと過去の彼らの交流が交互に描かれます。そして割と序盤で吉尾(成田凌)が実は既に亡くなっていることがあっさり明かされます。

くれなずめ とは日が沈むことを意味する くれなずむ の命令形、つまり死をくれなずむことに象徴させているのです。吉尾が成仏することが日没であり、日没が来ないと夜明け来ないわけです。つまり、前に進むための友情と亡くなった親友への哀悼の映画です。

この映画を時間軸順に並べれば、クラスや社会の中心にはなれない人たちが悪ノリをしているだけの映画です。ちょっと正直な例えをすると「居酒屋の近くの席でデカい声ではしゃいでいるグループを見ている感じ」の映画であり、個人的には心地よくはなかったです。

ですが、時間軸を交互に並べることで一体何があったのだろうと気になって最後まで飽きずに見ることができます。こういう構成は下手すると時間軸が分かりにくくなって、帰って集中力を途絶えさせる原因になりかねない手法ですが、今回はかなり効果的でした。結婚式とその他なので、分かりやすいためです。

ただ淡々と見せるだけでなくて、不死鳥やお花畑など超現実的な描写も挿入することで、映画全体にブーストがかかるといった感じも松居監督の手腕だと感じました。成田凌や若葉竜也、高良健吾、藤原季節など若手実力派俳優の演技も良かったし、いろんな俳優がカメオ出演してくるのも見応えがありましたね。

しかし、やはり個人的に彼らの「ノリ」についていけなかったこと、全体的に単調であるという印象は拭えず、ちょっと期待外れの感はありました。

最近の作品で言うと、成田凌は『愛がなんだ』、若葉竜也は『街の上で』、藤原季節は『佐々木、イン、マイマイン』が大変素晴らしかったので、それに比べるとちょっと残念ではありました。
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