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ライフ・ウィズ・ミュージックのmanamiのレビュー・感想・評価

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だめだどうしよう。やっぱり2020年の時点で批判的な意見を目にしてきて、実際鑑賞して私もこれは酷いとしか思えなかった。広報目的である試写会で観させてもらったのに申し訳ない。

ちなみにその以前から言われていた批判的な意見というのは「自閉症の人を馬鹿にしてる」とか「何で自閉症の女優を起用しなかったのか」とかです。

実際私もこれ馬鹿にしてないか?と思ったし、何より最後に「押さえつけるシーンは演出上の都合です」って表示しなきゃいけない映画って何。流石に酷いと思う。人を題材にした作品を作る時に、題材にされた人の気持ちより「芸術」を優先させるのはただの偽善だと思う。私は自閉症ではないし、身近に自閉症の人もいない。(障がい持ちは居るけど。)それでもやっぱり傷つきました。当事者の人がどれだけ傷つくか。

でも「Music」を作る過程を考えるとまず①多分SIAはMaddieが演じる前提で書いた②Musicを演じるのに相当なストレスがかかるのは事実だと思うので仕方がないのかもしれないとも思いました。ストーリーの嫌な部分はSIAの脚本を責めるべきだし、Maddieの演技で傷ついた部分はMaddieの演技と演技指導の欠落を責めるべき。

ストーリー的にも色々詰め込み過ぎて要らないのではと思ってしまったものが沢山。でも軸がSIAの書いた音楽で、曲を入れる為に物語に色々足していったのであれば納得がいくなと思いました。

「音楽」「映像」「あらすじ」だけ見れば良い作品だと思います。唯一で1番の問題は取り扱った題材とそれに対する誠意だと思う。自閉症だけじゃなくAIDSとか家庭内暴力とかほぼ全て。SIA本人が唯一経験したアルコール依存症と薬物に関しては割とまともだったと思うけど。

そして試写会後のトークショー(?)の中身が無くてなんだこれ〜。ただのゲストのモデルさんへのインタビューじゃないか……。そしてそのモデルさんは「暖かい映画」と連呼してて「どこが?」と思ってしまったし、進行の奥浜レイラさんは物語の本筋をわざと避けるような話し方してたので多分奥浜さんも良い映画と思ってないのではと思いました。

というわけで、SIAの音楽は良いと思う。役者が歌ってるのも良いと思う。キャラクターの脳内がMVというコンセプトも良いと思う。音楽のシーンだけをMVとして見せられるぶんには面白いと思う。でも物語として、映画としては酷いと思う。以上。


追記:
もしかしたら音楽シーンをそのまま短編映画シリーズとして発表して、それと対になる形で物語を小説として発表していれば結構好きな作品になっていたかもしれないなと思った。やっぱりどうしても残念。

再追記:
せめてMusic以外のキャラクターでもいいから自閉症の役者起用したりすれば良かったのにもうなんか残念すぎて何度も追記しちゃう。
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