ワンテイクのお芝居のようにミュージックの日常を支える市井の人々。一人ひとりの役割はささやかなアクションでも、失ってしまうと日常にぽっかりと大きな穴が空く。ここではみんな何かを抱えていて、それでも身近な人を愛することで自分の尊厳を保って、自分自身を愛することができている。
自己肯定感という言葉はおまじないのように一人で唱えていても限界があって、きっと誰かを愛することができる自分に気づけたら、日々がもっと愛しくなるんだろうな。
ラストシーンに充満する優しさの連鎖に心を打たれつつ、不条理な現実と自分の弱さに打ちひしがれて涙が止まらなかった。