2021年公開
監督 : 永井聡
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魅力的なキャラクターが創作できずに伸び悩む漫画家志望が、猟奇殺人の現場で犯人を見てしまうことから始まるお話。
「未知なる創作」って、破壊を伴うのかもねっていう物語。「創」って傷っていう意味ですしね。破壊するのは自分自身であり、世間の思い込みであり、安定した日常であり。それだけで済むならまだいいかもしれませんが、予期せぬ破壊が伴ってしまう恐れがあるからまた恐ろしい。実際、人が死ぬシーンとか書きすぎるとメンタルやられるみたいな話はあるわけで。それだけ人間というのは不確かでリキッドな存在なのかもしれないし、だからこそ、自分の原型を繋ぎ止めてくれる他者との関わりは大切なんでしょうね。犯人の「何者でもなさ」が、対比として惨たらしい。
役者が揃っているので思ったより見応えありなのと、ストーリーも2回くらいひねりを入れてきていて面白かった。オチはちょっと放り投げちゃった感がしたので若干残念。