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BLUE/ブルーのFのレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.0
めちゃめちゃ良かった。今年トップ5には確実に入りそう。華やかなだけじゃない、いろんな形の強さとかっこよさを観られる、ボクシング映画にハズレなし。格闘技に疎いからタイトルのブルーって何だろ?って思ってたけど観た後にその天才さにひれ伏せる、凄い。


これはスポーツだけに限らないけど、スポーツは特に、どんなに動きを頭で完璧に理解しててもそれが上手く出来ない人の方が多いし、でも逆に全く分かってなくても出来ちゃう人もいる残酷な世界で、才能って本当に残酷だよなって瓜田を見てて思った。どんなに努力しても超えられない領域は確実にあって、なおかつその壁は何もしなければ知ることも無く、努力し始めて初めて気がつく事になる。なのに、努力すればするほどその壁の高さ実感することになるし、その高い壁をいとも簡単に超えられちゃう奴もいる。
でも、今までの努力が無駄なんて思いたくないし、自分の才能の無さを認める事も出来ない。頑張った奴が報われる世界なんてほぼ一部だし、努力なんて簡単に裏切ってくる事が多いこの世界を描き切ったのは本当にリアルで、でもだからこそ残酷だった。溢れ出るいい人感と、顔に出さないけど内に秘めてる感を完璧に共存させた松山ケンイチ凄い。

汗水垂らして必死に努力して、才能の無さに気がつきようが、試合に何度負けようが、諦めずに挑み続ける姿はなによりもカッコいいし、その強さに気がついてあげられる、才能がある側の人間の東出もいい奴やんって思った。スポーツは勝ち負けが全てって思う派だけど、こういうの見せられると勝敗もそうだけど、それだけじゃないよなって思っちゃう。才能がなくても、勝てなくても、陰口叩かれても、自分の好きなものにがむしゃらになれるって素晴らしい。ああいう結果にさせた監督も個人的には凄く好き。


最初出てきた時、柄本時生の役いるのか?って思ったけどごめんなさい、個人的にはこの映画1番の主人公に感じた。不純な気持ちで始めたのかもしれないけど、途中から目の色変えて必死に頑張って、試合でも喰らい付いてく姿は印象的だったし、試合シーンは本当に心から応援してる自分がいた、こういう人が1番かっけえし努力が本当に報われてほしい。頑張れるのも才能だよな。

木村文乃が天才である事をいつも忘れちゃうけど、いろんな映画、ドラマに出る度その天才さを思い出させてくれる、役幅広過ぎ、顔面強過ぎ。表情、セリフがもうズルすぎる。東出もやっぱり顔がいいし、何より声が好きだから早く戻ってきていろんな映画に出て欲しい。

ボクシングのアツさであったり、この競技に魅せられるのも分かるなって思った。カメラワークもあいまりとてもいい作品。役者陣のボクサーとしての仕上がりも完璧だったように感じた。後楽園ホールに行ってみたくなる。

ただ、めちゃめちゃ良かっただけに、意識が飛んで脳震盪が疑われて担架まで持ってきたのに、自分でリング降りたいっていう本人の意思を聞いちゃうのは優しそうに見えて優しくないと思った、命がかかってるボクシングの現場であれがまかり通っちゃってたあのシーンだけはちょっと残念だった。その前にあれがあっただけに…
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