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BLUE/ブルーのjamのレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.0
やってみようかな…

"あんたみたいなタイプは高校入ったら絶対いじめられるから、ボクシングでもやったら"
気になる女の子にそんなふうに言われたら

夢中で頑張る先輩に勧められたから

可愛いバイトの子の気を引きたくて
"ボクシングやってる風"に見えるように

きっかけ、動機は様々だけれど
ふと気づくとボクシングの虜になっている
黙々とロードワークして
"基本"のロープを跳び
パンチングボールに向き合う

楢崎が身をもって教えてくれたように
ボディを打たれれば痛いし、内臓飛び出そうになるし
小川がそうなったように
脳への深刻なダメージ…認知症様の症状、
頭痛、嘔吐、呂律障害…

それでも彼らは
叩きのめされ、マットに沈んでも
自らの足で立ち上がり
止めろと言われようと
次に拳を交える相手を探す

ボクシングのなにが、それほど人を惹きつけるのだろう?
"やる"側にまわることはおそらく、これからもないだろうけれど
"やってる"側に注目する、実際の選手たちや彼らを題材とした作品に魅了されるのは
その疑問の答えを見つけたいからかもしれない

幼い頃から父が買っていた
"リングにかけろ""がんばれ元気"で
ボクシングを知ったからか、いつも
「BLUE」…青コーナーの挑戦者側から物語をみている気がする


自らの力で、勝利をもぎ取る
楢崎の心境が徐々に変わっていくさまを観て
数々の選手たちが栄光を掴もうとするのは
こういうことかと少し思い
瓜田のように好き、だけでは上手くいかない現実をほろ苦く思う


辛いこともあるけれど
不思議と観賞後の気持ちはそれほど重くない
朝の薄蒼い空のように
jam

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