ゆず

BLUE/ブルーのゆずのレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.5
「お前が負ければいいと思っていた」と仲間に言う主人公は、その仲間が負ける最後の試合をどんな思いで観ていたのだろう。

「身体が勝手に動いてしまう瓜田の背中を、どう美しく撮るか?」というラストシーンの逆算から撮影は進められた。
瓜田のモデルになった人が入場する後ろ姿をずっと見ていた。その時は「頑張れ」としか思ってなかったが、彼が辞めた後にこの映画の物語を考えていると、彼がリングに上がる姿が全く違うように感じた。ただの後ろ姿と、(辞めたことを)知った上での後ろ姿は違って見えると思ったので、そういう作りにした。
テレビで見ているぐらい近い距離でも、「あれ? 今倒れたのって何が当たったの?」って分からないことがある。リプレイ映像を見て初めて、左フックが当たったのかとわかったりするのが実際のボクシング。だから、お客さんが「今、何で倒れたの?」と思うぐらいが僕の中でのリアル。今から倒すパンチを繰り出すぞ、というような感じはちょっと違うと思っていた。
実際にパンチドランカーの方は性格が怒りっぽくなるらしい。短気になって、人の話を聞けなくなって頑固になる。だから身内が心配して「ボクシングやめたほうがいいんじゃない」と言っても怒って聞いてくれなくなるからどんどん悪化してしまう。
パンチドランカーの忘れてしまうという症状で“何を忘れたら一番悲しいかな”と思った時に、生理中でセックスしようと思った時に使う要らないバスタオルを忘れるっていいなと思った。家の鍵や物じゃなくって、セックスの為のバスタオルって悲し過ぎますよね。痛すぎて笑っちゃうというか、笑っていいのか悲しんでいいのか。悲劇と喜劇が共存しているものが好き。
今は、ボクシングとボクササイズを合体しないと経営が成り立たない。
中学時代から30年間ボクシング。
すべてのボクサーの努力や流した汗に花束を渡すような作品。
ガサツな方に持っていかれちゃう。
霧のシーンはおまけで凄く良い絵が撮れた。
ボディをバンッて打たれて、すぐ「ウッ」と倒れるのではなく、一歩二歩ぐらいよろけてから倒れる。打たれてよろけて、でもいける?やっぱいけない”みたいな感じでダウンするんだよね(笑)
足跡を残したいわけじゃない、足音を鳴らしていたいんだ。
“ボクサー版『トキワ荘の青春』”

チャリで俺もあんなこけ方したな
吉田作品で一番好き
ゆず

ゆず