tyapioka

BLUE/ブルーのtyapiokaのレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.0
ファイトシーンより試合後の会話や立ち振舞い、そして背中が印象的な映画。努力家だが勝てない男、才能があるが病気の男、嫉妬で何となく始めた男とそれぞれの立ち位置がはっきりしているため追いやすい。カタルシスはなく、完全に不完全燃焼。でも、その燃えつきなさが軸だろう。松山ケンイチのニコニコ笑顔の裏にある悔しさや恋心、東出昌大の才能ある空気と少し荒い男と先輩への敬意、柄本の臆病な感じからの成長、木村文乃のどこか居そうな生活感と愛嬌とエロスのある女性像。皆、いい演技だった。そういうこと言うなよ、というヒヤリとする会話が多く、含みのある「負けることを祈ってた」「わかってたんで」というクライマックスの告白に哀しさがある。おばさんたちの容赦ない言葉の腹立たしさ。基本を大事にしない男のおらついた発言の嫌さがすごい。恋心をテープを巻くシーンで表現する押し付けなさがよい。派手なシーンや仕掛けがないのがよい。ブルーというタイトルもなかなか作品を端的に言い表している。だからこそ、ラストのシャドーボクシングは美しいし、救いも感じる。見終わってから、いい映画だったな、という思いが高まってきた。無料で公開されているインタビューも豊富で、無駄なカットは撮っていないという点とアドリブはほとんどなしという点に驚いた。
2022.09.22
かなり主人公の片想いの目線に気づくことができ、また、男二人の語らないで語っている雰囲気を堪能できた。想像力が必要な映画かもしれない。
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