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明日の食卓のEDDIEのレビュー・感想・評価

明日の食卓(2021年製作の映画)
4.3
三者三様、百者百様の家族の在り方。人間誰しも失敗する。失敗だと気付かないこともある。無言の加害性や他者のコントロールできない行為は特に絶望を感じてしまう。
一つ一つの問題が生じたとき、親として人としてどう向き合うかで人生は大きく変わる。

おそろしくリアルな映画でした。
ちょっと鳥肌が立つぐらい。

10歳小学5年生の石橋ユウという同じ名前の息子をもつ母親3人の物語。

菅野美穂:2人の男兄弟の子供とカメラマンの夫の4人家族。長男が悠宇(ゆう)。

尾野真千子:成績優秀な“優しい”息子と出張の多い夫、二世帯住宅で夫側の母と裕福な家庭に暮らす。息子は優(ゆう)。

高畑充希:シングルマザーで仕事はバイトを掛け持ち。サッカーを愛する息子は勇(ゆう)。

三者三様で家庭環境の裕福度もそれぞれ。
共通点はユウという名の息子がいることと、尾野真千子と高畑充希が菅野美穂のブログの読者であるという点。
ただこのブログの読者という設定が後半にきちんと活きてくるんですね。

映画ポスターにある
「息子を殺したのは、私ですかー?」のキャッチですが、これが物語にどう作用するのかというところ。
3人全員なのか、そのうちの誰かなのか、それとも他の仕掛けがあるのか。

なかなか脚本も巧みでした。昨年でいえば『朝が来る』のように賞レースにも絡んで不思議でない作品だと思います。

さらに子供の育て方やしつけというメインテーマだけでなく、富の格差や嫁姑問題、認知症、DV、宗教団体など、幅広く扱っていながら、話が一貫している分、焦点が全くぶれません。

個人的には高畑充希親子に自分の境遇を重ねたこともあり、所々涙腺をやられました。

和田聰宏や大東駿介ら夫役も味わい深い演技を見せてくれて、映画全体がとても力強いメッセージを放っていました。

素晴らしい映画ではないでしょうか。
ただ尾野真千子親子はあまりにも恐ろしい親子関係でしたね。あそこまでなると取り返しがつかないというか…ホント怖かったです。
親子関係だけでなく、彼女の家庭環境や周りで起こることも含め、一番禍々しい感じを受けました。

※2021年新作映画67本目
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