映画好きの柴犬

明日の食卓の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

明日の食卓(2021年製作の映画)
3.8
これは、母親に育児を任せっきりにしているお父さんが見るべき作品

 同姓同名の「石橋ユウ」という小学3年生の息子を育てる3人の母親(菅野美穂、高畑充希、尾野真千子)が、子育てに行き詰まっていく様を描く、ヒューマンサスペンス。

 図らずも先日見た「哀愁しんでれら」と、片や寓話、片やシリアスという違いはあれど、母親の大変さを描くテーマは同じ。母親が「ユウ」を誤って殺してしまうという冒頭に差し込まれたイメージが誰なのかというミステリーに引っ張られ、前半は幸せそうに見えた家庭が、徐々に不穏な様相を見せ始めていく緊張感はなかなか。このミステリーは、謎解きに意外性があるし、テーマの普遍性を示していて、結末の味わいもふくめて、いい効果を出していた。

 3つの家庭のエピソードは三者三様だけど、いずれの家庭も父親が機能していない点は共通している。家庭に向き合っていない父親には、胸に刺さる(いや、刺さってほしい)。