ブラックユーモアホフマン

ハウス・オブ・グッチのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.9
ジャレッド・レトってあの外見が彼の才能をむしろ邪魔さえしているんじゃないかと思った。
美形すぎて、特殊メイクでもしないとこういう演技が板につかない。できるのに。

『ゲティ家の身代金』と同じ方向性の、金持ちダークコメディ。だったが『ゲティ家の身代金』の方が好きだった。

生ハムドレスとか着てた頃、レディ・ガガがこんなに俳優として本格的に活動するとは思ってもみなかった。
堂々たる演技で素晴らしいと思ったが、彼女の役パトリツィアにはキム・ギヨン『下女』的なとんでもなさをもっと求めていた。現代においてそれをフェミニズム的観点からセーフな範囲で描くのは相当なバランス感覚が必要だと思うが、やはりそのくらいぶっ飛んでてくれないとつまらない。どうせフィクションなんだから思いきりやって欲しかった。案外ちゃんとマウリツィオのことを愛していて拍子抜けというか。もっとあからさまに金目当てでも良いのになと思った。
初めは完全に金目当てで、段々惹かれていってしまって、でもその頃には逆に男の方の心が離れていて、突き放されて逆襲して、みたいな。パトリツィアが意外とピュアな良い子だったな。

サルマ・ハエック演じる占い師の立ち位置が面白い。オセロ中島のことを思い出したり笑 あそこもっと膨らまして見せてくれても面白かったかも。

何十年にも及ぶ大河ドラマをギュッと圧縮していて、その省略の巧さにはさすがに舌を巻いたけれども、ちょっと淡々とし過ぎている気はした。明らかな見せ場らしい見せ場があまり無いというか。

ちなみにバルト9で映画観たのちょうど一年ぶりだった。去年の3月1日観たのは『樹海村』。

【一番好きなシーン】
アル・パチーノが慟哭するところ。