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ハウス・オブ・グッチのFancyDressのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
5.0
パンフに掲載されているインタビューでスコット監督が言っているように、本作はシェイクピア的な悲劇のようでもあり、13年のスコット監督の傑作『悪の法則』の系譜に属する作品でもあり、私的には、大満足でした。

まあ、本作のストーリーは、私がここで書くまでもなく、そこらに氾濫しているので、ここでは詳しくは触れません。

13年の『悪の法則』は、若く有能な弁護士が出来心で裏社会のビジネスに手を染めたことから、気づいた時には取り返しのつかない最悪の状態になるのだが、実は既に最初から最悪へのカウントダウンは始まっていたというような話でした。

本作『ハウス・オブ・グッチ』は、グッチ一族の破滅を描いた映画です。グッチの創設者であるグッチオ・グッチの孫のマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)と運送業を営む実家を手伝っているパトリツィア・レッジアーニ(レディー・ガガ)がパーティーで出会うところからはじまり、ほどなくして二人は恋に落ち、デートを楽しむ場面が描かれていますが、実はもう既に、この二人が出会った瞬間からグッチ一族破滅へのカウントダウンは始まってしまっているというわけです。

その破滅装置=レディー・ガガだとわかった瞬間から、あ、ヤバいやつだわ、この映画!と感じ、直ぐに背筋を正してスクリーンに向かい直しました。w

本作でレディー・ガガのやったパトリツィアはエイリアンなんですよ。つまり、グッチ家に寄生したエイリアンがガガなんですよ。

スコット監督の出世作『エイリアン』と本作は、やはり繋がっているんですよ。

スコット監督は無神論者だそうですが、だから、彼は、常に人間の飽くなき欲望やボタンの掛け違いから取り返しのつかなくなる現実、つまりこの世界はいかに残酷であるかを作品で描いているわけなんですね。

さて、本作は、役者陣の演技も素晴らしいです。
主演のガガをはじめ、アダム・ドライバー、ノリノリの演技をみせるアル・パチーノ(パチーノとスコットは、本作が初タッグとのこと。)、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエックと皆さん素晴らしいです。ですが、、、ジャレッド・レトのあの特殊メイクは、『バットマン リターンズ』でダニーデヴィートがやったペンギンに見えて仕方がなかったですわ。w

とにかく本作は大傑作といっていいでしよう。二時間半ありますが、全く飽きさせません。あ、あと、音楽の使い方も素晴らしいです。ドナ・サマー、ブロンディ、デヴィッド・ボウイ、ニュー・オーダー、ジョージ・マイケルなど80sな選曲スコット監督自身が選んでいるとのこと。エンディングロールでパヴァロッティ&トレイシー・チャップマンの『Baby Can I Hold You Tonight』を使うセンスも最高。

リドリー・スコット監督は、彼の長いキャリアの中でも、今が一番ヤバい最高値だと思いました。80代にしてギラギラでノリノリで最高!

『ハウス・オブ・グッチ』は、必見の大傑作!!!
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