けべん

モーリタニアン 黒塗りの記録のけべんのレビュー・感想・評価

3.9
実話に基づく話.ビンラディンなどアルカイダや9.11に関係した内容.途中、体罰に近いかなり激しい取り調べがあり、そのシーンはかなりショッキングで刺激的なシーンが続くため注意です.

原作はアルカイダの戦闘員かつリクルータ容疑での収監者”モハメドゥ・ウルド・スラヒ”が獄中から書いた『グアンタナモ収容所 地獄からの手記』をベースにしている.厳密には、獄中で書く→検閲により一部黒塗りにされる→弁護士が受領→書籍化の流れ.
原題は、収容所で収監者(241番マルセイユ出身)と話した際の主人公のあだ名。

起訴されていないものの2002年から2016年まで拘束された主人公.手記を集めて出版したのが2015年なので、出版したことが釈放に影響したかもしれない.なお、本作は裁判に勝訴した2009年までの物語として終わり、その後については御本人らを映したビデオが流れる.

彼は高校時代がかなり優秀で、奨学金を受けてドイツ留学を果たした後に電気工学系エンジニアになっているので、この文章力があったと思われる.途中から英語で手記を書き、会話してた語学能力の高さが伺える。
本作以外にも、スラヒは拘留中に4冊の本を書いたようだが、グアンタナモから移送されて以来、これらの本にアクセスすることは許可されていない。

この話、日本でも同様のことが起きている.わたしの好きな邦画『それでもボクはやってない』だ.結局は、警察や政府は被告を犯人と決めつけた上で対応するため、手荒だろうが吐かせることに主眼をおいている.また、世間的に弱者である場合が多い被告は立場として弱く、ある程度手荒に扱っても避難されないという風向きも影響しているといえる.
ただし、警察や政府から考えると、反政府組織やテロ組織というのはなかなか吐かないという前例があるため一筋縄でいかないことを知ってのことだとは思う.

#ドキュメンタリー2023 Vol.6
#実話ベース2023 Vol.14 ★