モーリタニアン 黒塗りの記録の作品情報・感想・評価

「モーリタニアン 黒塗りの記録」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

ノンフィクションものにありがちな事実を垂れ流すだけの映画にはなっていなくて最後まで飽きずに観れたのですが、内容が面白い面白くないで評価出来ない大変重苦しい内容となっておりました…💦

パンフ掲載のカンバーバッチの弁によるとジョディ・フォスターも言及していた様なのですが、本作の肝・作り手側が伝えんとしていた事は、「民主主義の国家が司法手続き無しに厳しい尋問や拷問、裁判を開かないままの長期拘禁を行ってしまう程の恐怖を9.11のテロはもたらした」事と「その恐怖を人はどう処理すべきか」だと思います。
非人道的な行いをさせてしまう程に人を狂わす恐怖と云う感情。
それに対して、許しの境地に達したモーリタニアンことモバメドゥ及び正義を貫く勇気を持ったカウチ中佐の様に我々はならなければならない…これが作り手側の訴えようとしていた事なのではないのでしょうか。

本作を観ていて真っ先に思い出したのが、ジェシカ・チャステイン主演の「ゼロ・ダーク・サーティ」。
ビン・ラディンを追い詰める為にCIAの分析官が段々と強硬派になって行く様…テロの首謀者と云う怪物を追っていた者がやがてそれと同質のものと化す過程を丹念に描いている映画です。
人を怪物にさせる程に恐怖と云う感情は強大であるけれども、そこを何としても踏み留まらなければ大変な事になる事を描いている本作と結構な共通点があり、思い出した次第。
扱っているのが9.11のテロなので、内容が似通っているのは当たり前なんですけどね…😅

本作を飽きずに観られたのは、話の組み立て方に工夫があった事も大きいと思います。
ナンシーvsカウチの法廷での対決が山場になるかと思いきやモバメドゥの証言が拷問によって無理強いされたものであった事を突き止めた為にカウチが職責を辞した事により法廷対決は成立しなかったと云う意外な顛末。
上述のモハメドゥへ拷問が行われていたと云う真実にナンシーとカウチが辿り着く事こそ山場であった事。
観ている側の予想を良い意味で裏切ってくれる組立の工夫が成されておりました。

エンドロールに実際のモハメドゥの映像が流されるのですが、あれだけの事をされても実に幸せそうに笑いナンシーらと接する様子に、重苦しかった心が洗われました。
自分もかくありたいものです。
dai

daiの感想・評価

4.7
本作は実話に基づいている。

モバメドゥ・スラヒは9.11の首謀者として拘束され、グアンタナモ収容所へ収監される。のちにこの収容所では非人道的な拷問が繰り返されていたことが判明する。ジョディ・フォスター扮するナンシーはスラヒの弁護を引き受け、アメリカと裁判で戦うことになる。

開示された文書は黒塗りだらけ。どこの国も、国にとって都合悪いことは黒塗りで隠してしまうのだ。スラヒは十数年に及ぶ期間、自由を奪われた。

観賞後、パンフレットを買いに行ったが売り切れていた。悔しい。いやいや、この映画を見たらパンフレットを買って掘り下げたくなる。仕方なく、原書と翻訳本をすぐさまAmazonで購入したが、原書はまだ届かない笑。
BBCフィルムの製作らしい、という実話ベースのポリティカル・サスペンス。
題材への言及はひとまず置いて、映画としてのつくりは、比較的「普通」だと思う。
題材が題材だけに「面白い」というのも言葉を選ばなければならない部分はあるのだが、好きか嫌いかで言えば、好きな方ではあっても、人物の描き方や、ドラマ展開としては、よくありがちなものではある。

監督のケヴィン・マクドナルドの他の作品は全くの未観だが、ドキュメンタリー的な作品を多く手掛けていて、やはりよく言えば手堅い、悪く言えば普通という印象。

「9.11」におけるアルカイダのテロリストを勧誘、斡旋していたという容疑で、起訴も裁判もされずにトータルで16年間拘束されていたというモハメドゥ・ウルド・スラヒの手記をベースに、主人公はスラヒではなく弁護士のナンシー(ジョディ・フォスター)や、起訴して死刑に持ち込みたい側、としてのスチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッジ)がメインになっている点も、よくよく考えればモヤモヤしたりもする。

アメリカ政府の行い自体は「黒塗り」ということも含めて、自分たちの国と同じ、まったくもって信用のおけない恐怖と、それを後押ししてしまう「国民感情」という背景や、更にその後ろにある「信仰」についても多少の言及がある点はなかなか面白く観ることができた。

ただ、普通の映画だなぁと気持ちが下がりかけたラストで、その現実の物凄さには結構な衝撃を受けた。
これは意図されたものかはわからないが、実際のスラヒの持つ生来の明るい気質のようなものが、この現実の過酷さに対して挫けずにいられた根幹のような気もしたので、むしろそちらを掘り下げて観たかった、という気持ちも芽生えたりした。
な

なの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

9.11同時多発テロの首謀者の1人と拘禁されたモーリタニア人のモハメドゥとその弁護士ナンシーのお話。原作未読。

今年1番泣いたかもしれん!!持っていたハンドタオルが冗談抜きでびしょびしょになった😢

実際にあった出来事‥なのでもちろん結末は知っていた。詳しくはないけど、ニュースでこの話を聞いた‥しかし弁護士ナンシーやテリーそして米軍の弁護士であるスチュアートの事は全く知らず。スチュアートは実在するんだ🙄脚色されている部分があるとは思うけど、架空の人物ではなくこんな方が‥そうか‥ただ頭が下がる。

この人達が居なかったら、どうなっていたのか?考えただけでも最悪。マルセイユ‥彼にもナンシーやテリーの様な巡り合わせが有れば‥。いや、そもそも然るべき対応をしていれば、こんな酷いことは起きていないはず。自分達が正義だと信じて疑わない権力、集団心理。

ドラマとしてもすごく引き込まれた、実話を元にした映画はどうしても単調だったり間延びする場面が多いイメージ(確かにリアルとは言えるが。)だけど、このお話はミステリーとしてもしっかり成立していて最後までモバメドゥが何故か本当の事を話さない‥そしてその理由もとても納得のいくものだった。回想シーンも、センス良く理解しやすい。自白させられる場面は意識がぼんやりしているのが、こちらにも伝わってくる。酷い拷問で意識が乖離してしまったんだね😢痛々しいシーンもあるけど、直接の暴力より心理的負荷の方を映像として捉えているのも良かった。彼の心が閉じた瞬間は苦しかった。       

スチュアートの視点もとても重要だったと思う。彼が居たから内部の隠蔽がどういった経緯で行われたかよくわかった。そして本当にすごい決断をした人だ。ナンシーに助言?する辺りもグッとくる(流石に演出だよね?)

弁護士ナンシーのブレない人間性もカッコ良かった。母親に電話をどうしてさせたか語るシーンやテリーとの衝突?など、なかなかのシビアな人とも思ったけど、こうでないと務まらないんだろうな。そんなナンシーの潤んだ瞳は‥私も一緒に泣くしかない。さすがジョディ・フォスター!

裁判のシーンが割とあっさりしているのも良かったと思う、観客はここまででもうかなり神経をすり減らされているだろうし、その次の字幕で更に絶望を味合わされるしね。そこから釈放されるまで7年‥。お母さんも亡くなり‥。踏んで踏んで踏みつける、あぁ‥😔

最後のエンドロールでご本人が登場するけど、なぜこんな穏やかな笑みを浮かべているんだろう?‥裁判のシーンで「赦します」と言うシーン、ドラマとしての言葉かと受け取っていたけど表情を見ていると、本当に赦したのかも知れないと思った。彼はかなりタフな精神がある、それは信仰の影響が強いのだろう。もちろんそれだけでは無いとは思うけど、私には理解し難い信仰という救いがとても不思議で神聖に見えた。

タイトルにもある黒塗りは日本でもお馴染みで、本当にため息が出る。行き着く先を見た様な気がする。

どうしてこんな事が起こった?どうして再び笑う事ができる?信仰とはなんだろう。
テツ

テツの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

モーリタニアとは、アフリカ北西部にあるイスラム共和国らしい。

ここから1人の男がアメリカ政府に拘束される。

そして、9.11テロの首謀者の1人として、キューバの米軍基地にある収容所に14年間も投獄される。

この映画は、テロの重要参考人とはいえ、人権を無視した拷問により、事実とは異なる自白を強要された被告が描かれています。

9.11テロの首謀者でっち上げるアメリカを訴え、無実を勝ち取った暴露本に基づく実話。

こういう映画が作られるのもアメリカらしい。
エンドロールで流れるボブ・ディランの曲が見に染みました。
これが実際に起こった事だと考えると胸糞悪いですね。
映画は素晴らしかったです。

俳優陣の演技、特に囚人のモハメドゥ役のタハール・ラヒムが最高でした。
物凄く人間の希望を感じる側面と、拷問を受け怯える側面と
どちらも高い演技力が光っていました。

ストーリーとしては割と展開は読めてしまいましたが、
実話を基にしてるのでそんなもんでしょう。
しかしながら物語の運び方が上手かったので、
良い緊張感を終始もって映画に没入できました。

なんだかアメリカも国としてこういう闇をたくさん抱えてるんだろうけど、
この弁護士のような巨悪に立ち向かう正義が確かに存在していて、それが認められる社会である、
というのは凄く希望が持てますよね。
日本は今、隠蔽に隠蔽を重ねられた闇がちらちらと顔を覗かせ続けるばかりに感じていて、
暴こうとしてもそれを国が許さないといった様子で正直うんざりしています。

白は白、黒は黒だと認められる社会に生きたい。
Mathew

Mathewの感想・評価

4.0
実話に基づいて、官僚制の怖さと法の支配を支える人たちの底力がわかります。
ジョディフォスターが素敵に年をとって素晴らしい演技

このレビューはネタバレを含みます

とてつもなく、よかった。
映画を作る人の、伝えたいって熱がビンビンに伝わってくる映画だった。
でもこれ見てて、愕然としたのは、私って日本のことまるで信じてないなということ。
物語の中でMRFだかMFRだかっていう記録がすごく大切な役割を果たす。
これは、どんな尋問をしたかとか、必ず「真実」が書かれている機密の公文書。
真実を求めている、日本でいう検事みたいな人(カンバーバッチ)が、この文書を求めて奔走するんだけど、私はそんなん探しても意味なくね?と思った自分に愕然とした。
そんな絶対に真実が描いてある公文書はないと思ってしまったのだ。
この設定、今の日本だったら通用しなさそうだなと感じてしまった。
悲しいことだよ。

人のことを信じられる宝石みたいなシーンがいくつもあって、それはどれも些細なものなんだけど、そういうところが良かった。
きっとあられの宝石がなかったら、私はこの映画ここまで入り込めなかったと思う。
モーのことを、私も、信じて、大好きになっていた。
Buchaiku

Buchaikuの感想・評価

3.8
アメリカこわすぎ。偽善者ぶって内部で何やってるかわからん。中国と変わらんでね?中で暮らす人に、勇気と知恵を持った人がいて、その人が活動してくれてるからいいけど、そういう人たちがいなかったらほんと中国と同等。惨すごる。ていうか、スラヒってほんとにいい人だったんだろうなあ、ていうか、きっと天然だった。
Ayumi

Ayumiの感想・評価

4.4
考えさせられる映画だった、
と言うと、薄っぺらい感想にしか聞こえないけど、考えさせられる映画だった。

どちらの立場に立っても、そう思うのもわかる、わかる、、って思って、結局どうすればよかったかの正解はないような気がした。こうしたらこうなるできっとどうやってもいろんな批判、意見がある。

リアルタイムな実話すぎて、終始釘付けで2時間のめり込んで観てました。
映像美だったり映像技術だったりがすごい映画を観ると、あ〜映画館に見にきてよかったなって思うけど、こういう実話の衝撃的な映画も、違う意味で映画館に見にきてよかったなと思う。

2021-170
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