14番線ーじゅうよんばんせんー

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトの14番線ーじゅうよんばんせんーのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

内容はマッドマックスと鈴木清順と宝塚と百合をミックスしたカオスなものであり、作家性が強く観る人を選ぶ映画になってもおかしくないのだが、商業作品としてきちんと成立している稀有な作品だった。

舞台版もテレビアニメも観ているからとっつきやすかったのもあるが、全編通して基本的には狂気(どちらかと言えば狂宴、というか狂演)が描かれる。そこに華恋とひかりの過去のエピソードが合間合間に挟まれることで狂気が緩和され、舞台少女たちそれぞれの「別れ」をテーマにしたレヴューが開演しては閉幕を繰り返す。最終的にはそれぞれの歩む道を見つけて旅立っていく。

要約すればこういうことなのだが、これは映画を見終わってから6時間経ってから思い至ったことであり、映画鑑賞中や映画を見終わった直後はそんなことを考える余裕は一切なかった。鑑賞中は「いったいなにを観ているんだ?」であり、鑑賞後は「いったいなにを観たんだ?」という感想が素直なところだろう。この映画は考えることを許してくれない。よほどの映画通でなければ、カオスに飲み込まれてしまうのだ。

だから、序盤に大場ななが「強いお酒を飲んだみたい」と言い、星見純那が「私たち未成年」と言ったところで血が吹き出すのは、常識を考えるな、つまらんことを考えるな、ということなんだろう。この映画は何も考えず、素直に飲み込まれることで、思いっきり楽しめるのだ。

そして、この映画に関わったすべての人々はもちろん、これだけ作家性の強い作品にきちんとお金を出し、映画製作陣に作品を託したブシロードにも拍手喝采だ。最高の夢をありがとうという思いでいっぱいだ。