このレビューはネタバレを含みます
"優しい..."そんな印象の作品でした。
全体の印象としては...
同監督の『サマーウォーズ』では、皆の敵であるAI"ラブマシーン"が完全悪として大暴れした。
一方本作品では、メインストーリーにおける完全悪は無く、各々が持つ気持ちの"小さな黒"、"無責任"、過剰に膨らんだ"正義心"が闇として描かれており現代の情報社会の陰陽がシリアスに表現されていた。
映像、音源の美しさはもちろん、竜との関係性は『美女と野獣』を強く彷彿とさせ、さらに野獣のバックボーンを現代に上手く当てはめていると感じた。
ラストシーンでは、リアルな暴力にフォーカスしていたが、匿名性と重なる部分を感じた、顔を見ず背中に振るう暴力が如何に無責任か。
身を呈した主人公の勇気に脱帽である。
クライマックスで母親の気持ちに気付いた主人公に成長を感じながら涙を流しました。
「ベルの歌声」
「誰かのために」
「守りたい」
そんな"優しさ"。
