ふかぽん

竜とそばかすの姫のふかぽんのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます


は??映画なめてんのか??

見終わってしばらく経ったあとそんな気持ちでいっぱいになりました。映画の出来の悪さに怒りを感じることなんてあるんだ、と自分でも驚いています。

私は今年見た映画、なんならここ数年見た映画の中でワースト1だと思いましたし歴代細田作品の中でもぶっちぎり1位の駄作だと思いました。好き嫌い以前に脚本が破綻している。

夏休み超大作オリジナルアニメ映画として封切られたこの作品。映画館で予告を見なかった日は無いし、3週連続金ロー細田祭りで大プッシュされてますし、企業とのコラボも多いし相当宣伝に力が入っています。なんでか知らんけど莫大な金が動いています。未来のミライは大コケだったのにね。

自分の受け止め方とは裏腹にここまで宣伝されて有名俳優も声優に起用されまくってたらそれなりに大ヒットするんだろうな〜と思って暗澹たる気持ちになります。満席だったし。ヒットするかどうかを決める大きな要因は映画の出来不出来よりも結局話題性や金なんですよね金。はあ〜世の中結局金かよ(個人的な恨み)

肝心の内容はというと120分ずっと見ながらキレていたので語るとものすごく長くなります。

吐き出さないとどうにかなってしまいそうなので語らせてください。かなり口汚く書いています。お目汚しごめんなさい。

以下箇条書き&ネタバレ有りです。話の流れが合っていないところもあります。






・いきなり褒めだけど、開始五分ぐらいのUの紹介映像と中村佳穂さんの歌声は本当に良かった。映像と音楽の美しさにちょっと涙が出たぐらい。しかし恐ろしいのはこの映画の最高の感動ポイントはこの5分で終わったことと、残りの115分はひたすら虚無が続くということ。

・主人公すずの通学でここは高知のド田舎です!って描写を散々見せた後に高校生が大勢いる学校が映し出されて吹き出してしまった。渋谷にワープしたのか?


・主人公すずの回想  第一「は?」ポイント 子供はちゃんと陸地に避難してるし母親が見知らぬ子供を助けて死ぬ必然性がよく分からない。飛び込んだ後割とすぐに救助隊が来たみたいなの胸糞すぎる。映画を通して見た後だと母親の死に対してのヤフコメ描写もいらなかったと思う。観客を胸糞にさせたいのか?

・ベルの動画がバズるスピードが早!

・全編通してネットのコメントがペラペラで嫌になる!! 大衆が愚かなのがデフォルトだと悲しくなる。

・U内で盛り上がるコンテンツはベルの歌しかないの?サマーウォーズのインターネット描写の方が色々なネットの楽しみ方やインフラ管理に使われていたり世界観に広がりがあってまだ良かったよ!!!!あとアバターのスケール感に統一感が無くて常に画面がゴチャゴチャして落ち着かない。


・ネットに強いすずのお友達 友達の見た目にダメ出ししたり、ゴリゴリのルッキズム思考な感じが中におっさんが入っている女子高生って感じで嫌だった。


・謎の合唱団のおばさんたち 「今この中で1番誰が幸せか考えたでしょ?!」いや考えてる素振り一切なかったですけど...


・ライブのシーンまた歌が聴けると思って若干楽しみだったのに見せてくれないのか...竜が襲撃して正義マンとバトルしている間ずっと棒立ちで突っ立っているベルに違和感。


・すずが竜を探そうとする動機がよく分からないまま物語が進んでいく。もうこの辺からどうでも良くなり始める。

・父親との確執  何で? さすがに夜ご飯は食べなよ... ペットのワンちゃんの足が欠けている意図がわからない

・こっちのお構いなしにグイグイ来る幼馴染。おおかみこどもの草太を思い出す。グイグイ来ないで欲しい。

・染谷将太は癒しだったけど物語には全く必要無いよな...

・みんなが大好きな時かけの河原のオマージュがあって良かったね!夕方の河原でイケメン2人に挟まれるすず。取ってつけたような過去作オマージュで観客が喜ぶとでも思っているのか。舐めるな。


・本当にクソだと思ったのが謎のアプリゲーム風にクラスの女子の誤解を解いていく演出。スベってるしこんなに簡単に誤解が解けるんだったら誤解される描写も含めて入れなくて良かったよ...


・本当にクソだと思ったのが駅での1ショット長回し演出。他の細田作品では効果的に使われていて良かったのに(サマーウォーズでお婆ちゃんが亡くなったところとかおおかみこどもの雨がだんだん学校に行かなくなるところとか)この作品だとどうでもいいキャラの恋愛事情を長回しで見せられているだけで苦痛がすごかった。こんなことしてる暇があるならベルと竜が仲良くなるまでの過程を丁寧に描いて欲しいよ...この辺からこの映画何がしたいの?って気持ちになる。いつまでもカットが切り替わらない時間に帰りたくなった。


・ベルと竜の関係性の描かれ方がペラペラで何で?って気持ちが勝る ベルが竜に入れ込んでいる感情の動きに説得力も全然なかったし、何の感慨もなく美女と野獣の舞踏会の丸パクリシーンを流されてキレそうになった。何がインターネットの美女と野獣だよ。表層だけなぞってんじゃないよ。


・竜とベルのデザインはすごく素敵だと思う(突然の褒め)


・竜の正体が  は?

・サマウォのカズマとの違いが肌色以外わからん。また細田守の性癖か

・は????

・後半「は?」しか思ってなかった。

・幼馴染と合唱部のおばちゃんたちがベル=すずを知っていたの謎だった。

・虐待描写で宇宙猫になる。何なんだこの映画は何がしたいんだ。竜の背中の傷は弟を庇って父親につけられた傷なの...?これ物理的な傷だったんだ。

・すずの父親との不和も竜の正体の父子家庭での虐待もそうなるまでの描写が足りなくて母親が不在なだけでこうなってしまったのか?と受け取ってしまう。母親不在で崩壊する家庭。私がシングルファザーだったらキレてる。

・「竜もベルも現実で抑圧を受けていたからインターネットで最強になれたのよ」論
現実で抑圧を受けている人間なんてこの世に大勢いるだろうしその理論でいくとUはフリーザだらけになって早々にインフレを起こすと思うよ...

・全世界50億人から竜の正体を探せ!ってインターネットのワールドワイドさを生かしたスケールの大きい話風の宣伝をしていたのに結局は1億人ぐらいから探す狭めの話で笑ってしまった。部屋の感じからして海外の子供だと思っていた。

・みんなで子供達を助けよう!って流れなのに結局すず1人で東京に行く流れになるの尻すぼみ感がすごかった。一介の女子高生が1人で解決できる問題では無いと思うしおばちゃんや友達のうち誰かが付いてきてくれた方が良かったよ...
おおかみこどもの時みたいにまた児童相談所が悪者扱いされていて複雑な気持ちになった。

・「あのお母さんに育てられたからすずは優しい子だ。子供達にも優しくしてあげなさい」ってお父さんの励ましとも呪いとも取れるメッセージにげんなりした。何でまだ子供の女子高生が知らん子供の母親代わりみたいにならなければいけないのだ。あとお父さんはシングルファザーでも娘を育てた自分に自信を持って欲しいよ...

・東京に着いた後が最大の「は?」ポイント
監禁されてるのかと思いきや普通に出歩いてるし。自分よりか弱い小娘が立ちはだかって睨んだところで大の男が殴る手を下ろして怯えるわけがないだろ....

・なんか解決した風だけど何にも解決してなく無い?子供たちはこれからもあの家で暮らすの?

・「は??????」

・「これでやっとお前と付き合える」じゃねえんだわ。お前は何もしてねえだろ座ってろ。すずを守りたいとか言ってた割にはお前がいない間にすずの顔が傷ついたんだが...


・は?終わった......



上映中何度も時計を見てしまったし体感時間4時間ぐらいだった。疲れた。


過去作の要素を混ぜて、美女と野獣の要素をスパイスに入れて悪魔合体させたら出来上がったみたいな映画だった。

一つ一つの要素の噛み合ってなさと場面転換の唐突さすごかった。もしかすると竜とそばかすの姫は既にTVシリーズになっていて今見ているのは総集編なんじゃ無いかとすら思った。


細田守作品は必ず映画館で見ているし、合わない部分もあるなあと思いつつもなんだかんだ毎回楽しんでいた。未来のミライも個人的に駅のシーンがすごく良かったのでどちらかというと賛寄りだった。

しかし竜のとそばかすの姫はもう今後ニ度と細田作品を見たくないと思わされるようなこれまでの作品には無いマイナスパワーがある映画だった。倫理観がズレてるのは過去作からも感じていたが、今作に関しては作品を通して描きたいこと、テーマに対する誠実さみたいなものが全く感じられなかった。児童虐待のような社会問題をスパイス感覚でちょろっと出してきたところに1番憤慨した。


もう本当にこの映画は伝えたいことに焦点が定まってないしもはや最大公約数の人にウケるようにAIが作った映画なんじゃないだろうか。

さようなら 細田守。
ふかぽん

ふかぽん