3Dと見紛うような奥行きのあるハイセンスな映像に驚かされ、歌声に聴き入りました。ライブのようで、音の良い映画館で見た甲斐がありました。
細田作品、私はいつも盛り上がり所がやや性に合わない傾向があり（個人的に勢いや飲み込み方に乗り切れなかったり没入が足りないだけで、受け入れられているのなら何ら構わない、そちらに向けたものなのだろうと思っています）今回も無くはなかったものの、
そこまで取り残された感に振り切らず、ここでの表現として感じ取れたように思います。
大きく泣く描写はやや苦手なのですが、バスでの静かな涙には感じる所があり、
皆が一致感動する大きな表現には、力のプラス面や性善説的なそれを否定する気は無いものの、どうしても救いと受け取り切れない面があるのですが、
雨の中の3人の、理想やこうあるべき以前に受け取る事や立つ己を基盤とする描写とのバランスはしっくり来て、
複合しての作品である意図は恐らく確かで、あえて振る模索もまた然り、と感じます。
そうはならんやろな展開は、美女と野獣を例にせずとも、荒めの解決や展望もこれまでの作品も総じて、ミュージカル的な切り取り方なのでしょうし。
精査も勿論大事だけれど、何より行動する事の意味、関わらない範囲や後からの声の弱さと故の暴力性の認識は責任の大前提ではないかという事は、日々私の胸の内に去来するものです。
