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竜とそばかすの姫のpeplumのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.9
女子高生、仮想世界、ケモノ、夏、田舎…勝てるイメージのコラージュ
真骨頂にして新境地(佐藤健のコメントより)、集大成にして最新鋭
↑上の文章は公開前から決め打ちで書いてた断片だけどほんとそんな感じはあった。細田守が細田守を更新しに来てた。
中村佳穂の歌で作品としての凄みが2段3段上がっている。女優じゃなくてミュージシャンを起用して大正解だった。同様に幾田りらがめちゃくちゃコミカルでチャーミングでとてもよかった。あんな友達がほしいと思ったね。
廊下のパンが気持ちよかった。
「ようこそUの世界へ」、サマーウォーズを超えるという表明だなと思った。

キャラデザ、衣装、音楽、Uのビジュアルなど才能のハブになって新しい表現を模索してるのが凄く真摯だなと思ったし、そんだけ才能を起用することに自信があるなら脚本開発にも人を雇えばいいのになーって正直思った。作家性の担保として脚本・監督をやりたいのはわかるけどやたら過去重いし虐待もしんどい。それらの要素がよくないっていうんじゃなくて出し方として重たくなるだけでそれがイコール感動にはならんよな…と思った。劇的であることを優先するあまり見ているこちら側に多大なノイズを産んでしまうという悲しさ。これが新海誠だったらこっちも(もう、誠はしょうがないなー)と思ってしまうから不思議だ。
インターネットで美女と野獣をやりたいという初期衝動には忠実だったと思う。原作もアニメも実写も見てないのにあー美女と野獣だってわかった。今まで細田守作品はジブリを目標あるいは仮想敵としてたと思うけど今回は完全にディズニーアニメ、今や3D全盛になってしまったディズニーアニメを作画と3Dで作ったら…みたいな世界市場狙いをビンビン感じた。歌とプリンセスなところもそう。
終盤みんなに明かりが灯って合唱みたいになるシーンは不覚にも涙が出た。コロナ禍でもう見れないような大観衆のライブというのが琴線に触れた。

竜は誰?を謎にして引っ張るには事情が重たいように感じた。
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