Nick

竜とそばかすの姫のNickのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

まず何より良い音とそれに合った映像を浴びる体験として最高だったなと…!
中村佳穂の過去曲は個人として正直そこまで刺さってた訳ではないのですが、今作のBelleの歌声でやっぱり上手だなぁと思えたし、millennium paradeありがとうという感情は強かった…

画としても世界中で絶賛されている、というストーリーに説得力を感じさせる歌唱シーンの映像表現は正に圧巻…!

また、動きの大人しいシーンも最小限で魅せてくるのは流石細田監督すげぇという感じ。
車やバスに消える声と主人公とか最高だったし、序盤の1人歩いている冬や河川敷の背景とか学校で手を握られた直後らへんとかも良かった!
それとあの二人の駅でのシーンは可愛かった笑

一方で流れとしての話や、最終盤の展開やオチは(多分ある程度意図的にデザインされてるような気は特にオチの周りにするけど)、個人的に引っ掛かったりする感覚が結構多かった、というか消化不良に感じてしまったなという印象。

自分は特に事前情報は入れてなかったけど、美女と野獣オマージュは親切に思えるくらいには分かりやすかったなと。
そこに要素としてのネット・SNSを絡めて発生するオリジナリティ(善意や悪意についての部分とか“正体”についての部分とか)は自分としては良かったと思った。
ただ全体的に都合の良いキャラが(特にリアルの関係者に)多すぎた感は否めず、その割に悩む主人公に自分は中々共感できず(決定的なまでに弱く繊細な人物を主人公にしようというところは支持しています)、ヌルヌル進んでしまう展開には置いてきぼり感があるというのが正直な所感。
あと中盤の平定の下りは感でなく本当に置いてきぼりにされかけた、面白かったけど笑

そして最後のリアル対決場面前後は正直色々厳しく思えてしまったし、その割に描かれてる範囲では主人公周り以外(生々しい話ではあるけど)実は結構ビターな状態で終わっていてそうなるんだ…という。
てか録画できるなら最初のそれを証拠として突き出せない…?
観ていく中で「U」の世界から感じられたスケールが最終的にすごく萎んで片付けられてしまったのは残念。

あと惜しかったところとして、その「U」の世界は魅力的だっただけにもう少し深く見たかったなと。
あの世界はどう広がっているのかとか、作中世界の人は何のためにあのサービスに入れ込んでいるのかとか、AIによる謎アバター量産で天下とれた理由とか…笑
正義マンあの後どうなったのだろう…。

色々書いたけど、映画館における音と映像による映画体験の良さを体感するには本当に良い作品だったと思う!
あと周りも良かったんだけども、いくらちゃんの演技はすげー良かった!贅沢な使い方!
Nick

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