Chico

竜とそばかすの姫のChicoのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.8
監督 細田守
製作 日本 2021
原題 竜とそばかすの姫 (英題 Belle)

サマーウォーズ以降、公開される作品毎に細田作品への期待が薄くなっていましたが今回、監督渾身の本作を鑑賞するため映画館に足を運びました🚶‍♀️

映像は驚異的で音響との調和からくる高揚感はすごかったです。
“歌”が物語を動かすキーになっているためどこかミュージカルのようで、"美女と野獣”のオマージュ的シーンのディズニーっぽさやUのビジュアルの豪華さも相まって、一種のアトラクションの様でした。

(作品の魅力が画面の物理的な大きさや音響にかなり依存しているため、映画館での鑑賞をおすすめします。(IMAXで鑑賞しましたが臨場感スケール感が凄かったです))

しかしながら…
鑑賞後にはその高揚感と同時にもやもやとした消化不良感も残りました。
映像とそれ以外の要素、この2つのクオリティに大きなギャップがあったと思います。

そして私は、映像の驚異とモブ(群れ)メンタリティの脅威を感じました。

キャッチコピーの”もう、一人じゃない”とは?語り切れているのか疑問は残ります。

-ここからネタバレ要素あります-






“それ以外の要素"とは: 詰め込み過ぎて本筋が見えづらく回収仕切れないほど風呂敷を広げたストーリー、登場人物達の浅い内面描写、仮想世界の設定のゆるさとほころび、の3つが挙げれます。(長くなりそうなので詳細は省きます^^;)

前述したモブ(群れ)メンタリティについて:

オセロの駒がひっくり返えるように一斉に意見を変え、それが過剰な攻撃、あるいは擁護になったりする様子は昨今SNS上などで良く見る光景ですが、すずの学校の生徒も50億のアズも、ちょっとしたことで手のひらを返す。それらは全て情動的で思考する間がないままに、敵にもなり、味方にもなる。そのためクライマックスの盛り上がりに脅威を感じました。そしてそこに乗り切れなかったのは物語に説得力のない状態で、群衆の中で情動的共感の強要を感じたからかもしれないです。

技術的な要素へのこだわりとおなじくらいの力をキャラクター達に注いで欲しかった。命を与え、生きさせて欲しかった。
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