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竜とそばかすの姫のYoxxkeのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
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物語は基本的に二項対立で描かれている。

ファンタジーとリアル。
陽キャと陰キャ。
信者とアンチ。
正義と悪。
すずのお父さんとけいのお父さん。など

ここで描かれるもの全て、現実の世界でも見たことのあるようなものばかり。日頃感じていた違和感とか気持ち悪さを視覚化してくれた、そんな感じ。

すずはお母さんを亡くし、いじめられ、また、けいは父親から虐待を受けていた。だが、一方でそういったそれぞれの負のバックボーンがU上での莫大なエネルギーの源になっていた。これらは当事者じゃないといまいちピンとこないことかもしれないが、実際現実の世界でも大きな原動力となる要因のひとつだと思う。それこそ「世界を変える」ほどの。

美女と野獣感満載でしたけど、特にそれが返ってよかったなとも思ったりする。なぜかというと、ファンタジーへのアイロニーになっているから。ファンタジー作品でも、今回のテーマのひとつの「世界を変える」というのはよくある展開。だが、あくまでそこではファンタジー止まりなのである。一方で本作はファンタジーの要素とリアルの要素が混ざり合っており、だから「世界を変える」という普遍なテーマにもリアリティがあり、説得力もあり、共感もできるのである。


個人的によかったところは、ベルのキャラデザ&歌が素敵な点。

一方で演出的には、唐突であったり、辻褄合わせ的であったりする部分が散見され残念な点もある。

あときっと、クリオネ風のAsは忍くんだったんではないかと思う。
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