Pegasus

竜とそばかすの姫のPegasusのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.5
心を吹き抜ける爽やかな疾走感。そして歌声

不満はたくさんある。
Belleになるまでの過程や、竜が暴動を起こす動機、クライマックスも含め過不足な描写が多く「なんでそうなった?」「ちょっと無理がある」と思ってしまう。
特に美女と野獣パートはあからさますぎて冷めた目で観てしまったのは事実。
それらを踏まえて高らかに宣言する。

「この映画が大好きだ!」

映画を何故作るのかと言ったら監督の創作意欲を満たすため。映画を何故観るのかと言ったら非現実的な体験をするため。
監督の脳内、妄想、創作を楽しむのが観客の楽しみだ。
細田守はこの期待に見事応えてくれた。
確かに他の人がいうように細田守のやりたい事を詰め込んだかのような脚本だけど…
それがどうした!監督がやりたい事やってるんだから面白くないわけないじゃないか!
最初にあげたような不満は多々あるけれど、その穴を埋めるかのように映像、音響、編集、演出がビシッと効いていて、不満を感じても激流のように展開される世界に流されてもはやどうでもよくなる。
しまいには流れが速すぎて不満を感じる間もない。速すぎるといっても観客を置き去りにさせないところは細田守すげぇなってなる。
というのも久しぶりに「ここは映画館だ」ということを忘れ、スクリーンに没入した。まさに自分がUにいるような感覚に陥った。

そして中村佳穂の息で歌うような歌声に酔い痺れた。彼女はもともと好きな歌手で、本業ではもっと型破りな楽しい、素晴らしい音楽をやっています。もっと中村佳穂らしいポップで自由な歌が聴きたかったのが少し不満だけど、彼女の演技を味わえただけでも満足です。

映画とは、アニメとは、夢を与えてくれるもの。
暗い世の中で忘れかけていた興奮を思い出させてくれた。
心を吹き抜ける疾走感は私に輝く夏を寄越してくれました。



2021.9/23 ミッドランドスクエアシネマのDolbyCinemaにて再鑑賞。
なんで竜の正体にそこまでこだわるの?とかまあ色々気になるところはあるけど、やっぱりこれ大好きだ。すべての見せ場がビシッとキマってる。
駅のシーンと鈴として歌うシーンがもう好きすぎて…!細田守の派手さはないけど実は計算された演出が最高です。
そしてDolbyCinema
シネスコスクリーンいっぱいに拡がる映像は圧巻。3DCGの艶と立体感を生身で感じられるし、滑らかに動くカメラワークに酔いそうになる。
低音に物足りなさを感じだけど、まさに音が洪水してるような音響で、鳥肌が…震え上がりました。
本当に素晴らしい体験だった…!
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