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レンブラントは誰の手にのfleurのレビュー・感想・評価

レンブラントは誰の手に(2019年製作の映画)
5.0
おもしろかった。アムステルダムという細長い家の多い街にあれだけ窓の大きくて広い画廊をもつヤン・シックス(11世)にパリにこれだけ大きな家を持つロスチャイルド男爵、スコットランドに広大な敷地とお屋敷を持つバックルー公、そしてこの現代においてレンブラントを"コレクション"することのできるアートコレクターたち。代々受け継いできたものならわかるけれど、そうでなくともレンブラントって今でも個人でコレクションしようと思えばできるんだ…と驚いてしまった。名家の人々と資産家の人々の殿上人のお戯れ感があって、平々凡々な私からしたら見ていてこんな世界もあるのか、とおもしろかった。
対する美術館は資金が足りず共同で費用を捻出することになった点との対比がなんとも皮肉的だな、と思ってしまった。コレクターからの寄贈によって庶民の私は名画を観る機会を得ているところも往々にしてあるけれど、それでもやっぱり名画は公共のものであるべきだと思う。でも、同じ時期に観たアートマーケットの映画にも通ずるけれど、作品が美術館に行っても、結局倉庫で埃をかぶって眠ってしまうことも多いわけで、そんなことになるならせめて特定の人に愛を込めて鑑賞しながら共に暮らしてもらえる方が作品も幸せなのかな、と思ったりもする。欲を言えばときどき一般にも公開してほしい。
それにしても政治家までしゃしゃり出でくるフランスよ……アムステルダム国立美術館の館長と広報担当の方の怒り心頭な様子が、鑑賞者としてはおもしろかった。美術館も大変なんだな。光の入る広く美しいアムステルダム国立美術館にいるレンブラント作品は幸せだろうな、と思う。
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