建野友保

狂猿の建野友保のレビュー・感想・評価

狂猿(2021年製作の映画)
4.0
デスマッチのカリスマ、葛西純選手の生き様を描いたドキュメンタリー映画。後楽園ホール2階からのダイブ、有刺鉄線への叩き付け、蛍光灯デスマッチ、火炎デスマッチ、さては刃物を使った切りつけと、過激さを増すデスマッチ。プロレスは好きですがデスマッチは好まないし、したたり落ちる血も非常に苦手ですが、体格では劣る彼がこの世界を選んだ理由は理解できますし、海外からも評価されるデスマッチファイターにのし上がった彼に対しては、敬意を感じざるを得ません。
メジャー団体となった新日本プロレスに所属する本間選手が、デスマッチと袂を別った経緯は至極真っ当だと思いますし、デスマッチを極める葛西選手は明らかに邪道と思うのですが、葛西選手の生き様を見ていると、本間選手の方が邪道に思えてくるから不思議。妙にニコニコと笑顔で葛西選手をサポートする妻こそが最強と思えました。
この映画が投げかけるテーマは「人生は一度きり。好きなことをとことんやれ」でしょうか。その点については全く共感します。こんな、とんでもない世界で生きる人々を描いたドキュメンタリー映画。稀少です。
(それにしても、アクシデントとはいえ、リングに転がった肉片にはぞぞぞ)
建野友保

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