福福吉吉

リトル・シングスの福福吉吉のレビュー・感想・評価

リトル・シングス(2021年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
ジョー・ディーコンはかつてロサンゼルス市警で刑事をしていたが、現在は田舎町の保安官を務めていた。ある日、証拠品を取りにジョーは市警の殺人課に寄ることになった。そこでジョーは女性連続殺人事件の陣頭指揮を執るジミー・バクスター刑事に出会う。ジョーとジミーは共に事件を追っていく。

◆感想◆
元刑事の保安官、ジョー・ディーコン(デンゼル・ワシントン)と現在刑事であるジミー・バクスター(ラミ・マレック)が連続殺人事件を追っていく中で、ジョーの過去やジミーの事件解決への渇望が露になっていくストーリーであり、連続殺人事件の犯人逮捕よりも刑事という仕事に全てを捧げてしまった彼らの行き着く果てを主眼に描いた作品になっています。

ジョー・ディーコンは元は優秀な刑事でしたが、ある事件をきっかけに田舎町の保安官に配置換えされます。しかし、刑事でなくなった現在でもジョーは過去の事件を追っており、現在起きている女性連続殺人事件に共通点を見出し、独自に捜査を始めます。彼の過去は最後にならないと明らかにならないので、その点はずっとモヤモヤした気分で観ることになりますが、刑事としての優秀さ、そしていつまでも仕事にとり憑かれる心情が上手く描かれており、最後まで興味深く観ることができました。

ジミー・バクスターは現役バリバリの刑事であり、ジョーの刑事としての辣腕ぶりを知っていたため、彼を事件の捜査に加えます。ジミーは2児の父であり、温かい家庭を築いていますが、事件解決を望むが故に休む間もなく仕事に打ち込んでいきます。仕事に全てを捧げる姿はジョーもジミーも同じだったように思いました。

ストーリーが進むにつれて、ジョーとジミーは有力な容疑者としてアルバート・スパーマ(ジャレット・レト)を見つけます。しかし、このスパーマが人をあしらうのが天才的で、見事なくらいに2人を翻弄します。ジャレット・レトの憎たらしい演技がとても良かったと思います。

ストーリーは女性連続殺人事件を軸に進んでいきますが、ジョーの過去やジミーの現在の生活などを挟むことによって、上手く緩急がついていました。しかし、ストーリーのラストとしては事件の解決を主眼に置いていないため、どこかスッキリしない気分がしました。

一風変わった刑事ドラマとして面白かったと思います。前半に事件の猟奇性をクローズアップしていたため、それを最後に帰結させていればもっと面白かったように思います。そこが少し残念でした。

鑑賞日:2023年12月27日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2023年1月21日)
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