ヒムロ

エスケーピング・マッドハウスのヒムロのレビュー・感想・評価

4.0
NYはブラックウェルズ島の精神病院に入院する患者ネリー・ブラウン。
監視と虐待が横行する病院の中で、自分の名前しか覚えていない彼女は正義を貫こうとする。
微かに思い出せる記憶を頼りに奪われた手帳を盗み返した時、自身が何のために入院したのかが朧げながら思い出してくる。

ほぼ女しかいない精神病院での虐待って実際に昔ありそうな話だなぁと思っていたらめちゃくちゃ実話ベースの映画だった。
どこまでが事実なのか原作を読んでいないので分からないが、性格がまともな登場人物が主人公とバット以外いなくて逆にリアル。
犯罪が長年続いている場所っていうのはやっぱり悪人しかいないから露見もしないんやなって。

ただ正気のまま都合よく記憶だけ消したりしてることを考えるとやっぱりフィクションが多分に含まれてそうではある。
それでも事件は事実なのは恐ろしいが。

撮影時で恐らく70歳ぐらいだったであろうジュディス・ライトの演じるグラディ寮長はナチュラルな老いの美しさと、決して体格に頼らない気品と精神力による気迫を醸し出していて、小さな老女には収まりきっていない恐怖が漏れ出ている。
その絶対的な悪役の存在感がこの作品のクオリティを何段階も上げていると言っても過言ではない。

重ねていうがどいつもこいつも反吐の出る様な腐った人間だらけで嫌な気分になる事間違いなしの一本なので視聴の際は心して見て欲しい。
ポリコレ的な今の時代性にも合っていながらも昔の実話であるという所が面白いと感じると共に、現代の無理やり配慮したポリコレ脚本や配役のクオリティの低さを実感する映画だった。
ヒムロ

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